▼ ページ24
.
師走。
年末が近づくにつれ忙しくなる社内は、定時になっても、皆なかなか席を立たない。
かくいう私も、まだまだ終わりのみえない仕事に残業コース確定だな、なんて腹を括る。
佐久間「はぁ〜。つかれたぁ。」
「お疲れ様です。」
佐久間「んふふ。Aちゃんも疲れてんねぇ？」
そう言って私の顔をのぞき込む佐久間さんも流石にいつもほど元気はなくてお疲れのよう。
「佐久間さんも、流石にお疲れなんですね。」
佐久間「んにゃ？俺はねぇー、仕事でってゆーより、年末は大好きなアニメの最終話が近付いてるから、原作の漫画読み返して全然寝てないんだよね！」
「え、」
ニカッと笑ってそういう佐久間さんは、続けて「このアニメは原作終わってないから今アニオリの展開でさ〜」と呪文みたいなことを話し続けている。
帰宅したらバタンキューで寝てしまう私に比べて、趣味を謳歌する余裕があるなんて……
やっぱり佐久間さんは普通の人より元気があるなぁ。すごい先輩だ。
佐久間「そーいえば、お菓子の山もついになくなったねー？」
佐久間さんの視線の先には、いつも深澤さんがお菓子を置いてくれる私の机に向けられる。
「……深澤さんも、お忙しいでしょうからね。」
佐久間「まあ違う奴はよく来るようになったけど！」
違う奴。
そう、深澤さんの訪れる頻度に反比例するように、最近よく顔を出す人。
それは。
「お疲れ様です！」
「……お疲れ様、」
佐久間「お疲れー！また来たか蓮！」
目黒「はい！Aさんの顔みて癒されようと思って」
「っ！？！」
恥ずかしげもなく佐久間さんにそう告げる目黒くん。
相変わらずそういうことを人がいるところで言うのは、ほんとにどうにかして欲しい。
佐久間「んは！相変わらずセリフがリアル少女漫画じゃん！佐久間さんそういうの大好き！」
目黒「ふはっ。佐久間君の方がAさんより喜んでくれてますね。」
「……ちょ、ちょっと、目黒くん、！」
ニコニコ楽しそうな目黒くんの腕を引き、広報部を出る。
後ろで佐久間さんが、「いってら〜。あぁ〜俺にも早く春がこないかにゃ〜」なんてつぶやく声が聞こえてきたような気がしたけれど、どうか私の勘違いであってほしい……。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1165人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
たぬ(プロフ) - 塩さん» 胸が暖かくなるやさしいコメントをありがとうございます。まだまだ上手く書けないですが、これからも楽しんで頂けるようがんばります！読んでくださりありがとうございます。 (2月23日 20時) (
レス) id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
塩 - ふわふわしてて可愛らしくて、綺麗な文でつくられているのでとても好きな作品になっています𓈒𓏸これからの展開も楽しみにしています…！ (2月21日 22時) (レス) id: 2759139232 (このIDを非表示/違反報告)
たぬ(プロフ) - 翡翠さん» 続きを楽しみにして下さり、コメントもありがとうございます！泣いて下さるなんて、申し訳ない気持ちと嬉しい気持ちがせめぎ合っています。笑 続きも楽しめますように。 (2月13日 2時) (レス) @page40 id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 切なすぎて泣きながら読みました笑 続きが楽しみです (2月11日 22時) (レス) id: 6c0d9e0967 (このIDを非表示/違反報告)
たぬ(プロフ) - もぐさん» ご感想ありがとうございます。この作品が面白いのか私自身分からなくなってきていたのでそう言って頂けるととても嬉しいです。素敵な応援をありがとうございます。更新頑張れそうです…！ (2023年2月24日 22時) (レス) id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：たぬ | 作成日時：2022年11月27日 15時
