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深澤さんを好きになったのは、よくある話。
入社して5年。
もう一通りの仕事ができるようになった頃。
初めての、仕事での大失敗。
しかも原因は100%自分。
一人でパニックになって、どうしようもできないのに必死で何とかしようとがむしゃらに動いて。
だけど、結局うまく立ち回れなくて。
上司からのため息と、先輩や同期からの同情と。
周りへの怒りなんかじゃなくて、不甲斐ない自分への怒りと、悔しさで思考はショート寸前。
職場では泣いちゃダメだと自分を律して駆け込んだ給湯室。
先客だったその人を前に、もう限界だった私の涙腺はあっけなく崩壊して。
そしたら「あー。とりあえず飯行くか！」と笑って私の腕を引っ張り、「食べたら元気出るから」と職場から少し離れたご飯屋さんでオムライスを奢ってくれた隣の部署の先輩。
単純な私は顔見知り程度だったその先輩にあっさり気持ちを奪われて。
とくんと高鳴る胸の鼓動を、自分の意思では止めることなんて出来なかった。
気付いたらいつの間にか目で追うようになっていた。
＿＿＿気づいた時にはもう、好きだった。
挨拶を交わすだけで、その日一日幸せな気持ちになってしまう。
何の気なしに頭に触れてくる彼の綺麗な手にいつも見惚れてしまう。
ダメだと思えば思うほど、この気持ちを消したいと思えば思うほど、意識してしまって。
報われなくてもいい。
ただ好きな気持ちを大切にできたら。
そうやって、ひっそりと、こっそりと育てた恋心。
何の価値もないけれど。
誰にも知られないまま終わるはずだった片思い。
なんで目黒くんは知っているんだろう。
なんで目黒くんはそんなに素直に自分の気持ちを相手に伝えられるんだろう。
それに比べて、想うだけで満足もできないのに行動もできない自分。
こんな情けない私のことなんて、なんで好きだと思うんだろう。
でも、そんなこと聞く勇気もない。
自分と正反対な目黒くんの前にいるのは、苦しい。
そんな私が出した答えはこの場から少しでも早く逃げ出すことだった。
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たぬ(プロフ) - 塩さん» 胸が暖かくなるやさしいコメントをありがとうございます。まだまだ上手く書けないですが、これからも楽しんで頂けるようがんばります！読んでくださりありがとうございます。 (2月23日 20時) (
レス) id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
塩 - ふわふわしてて可愛らしくて、綺麗な文でつくられているのでとても好きな作品になっています𓈒𓏸これからの展開も楽しみにしています…！ (2月21日 22時) (レス) id: 2759139232 (このIDを非表示/違反報告)
たぬ(プロフ) - 翡翠さん» 続きを楽しみにして下さり、コメントもありがとうございます！泣いて下さるなんて、申し訳ない気持ちと嬉しい気持ちがせめぎ合っています。笑 続きも楽しめますように。 (2月13日 2時) (レス) @page40 id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 切なすぎて泣きながら読みました笑 続きが楽しみです (2月11日 22時) (レス) id: 6c0d9e0967 (このIDを非表示/違反報告)
たぬ(プロフ) - もぐさん» ご感想ありがとうございます。この作品が面白いのか私自身分からなくなってきていたのでそう言って頂けるととても嬉しいです。素敵な応援をありがとうございます。更新頑張れそうです…！ (2023年2月24日 22時) (レス) id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たぬ | 作成日時：2022年11月27日 15時
