オムライスと苺タルト

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目黒「Aさんって、ふっかさんのどこが好きなんですか？」

「ふえっ？」





突然の質問に零れた間抜けな声。

なんで今。どんな流れで。

それより、この手はどうすれば。









目黒「好きな人のことだから、知りたくて。」

「いや、その……」








目黒くんから感じる視線はよりソワソワと気持ちを揺らめかせる。


繋がれた手を思わず引っ込めようとするのに、逆にぎゅっと力を込められて。









＿＿＿"逃がさない"って言われてる気がした。













どこが好きか。
何が好きか。


それを話すということは、深澤さんを好きなことを認めるということ。

誰にも言ったことなんかない。口に出したら、もう戻れない気がしたから。






好きじゃない頃に戻るなんて、そもそも出来っこないのにまだ抵抗しようとしていた自分。

潔い目黒くんと比べると、ほんとに往生際が悪い。




酔っていて判断力が鈍っているからかな？
それとも目黒くんが思いの外話しやすくて気が緩んだからかな？



今なら認めてしまってもいいかなって、思ったんだ。












「……深澤さんだから、かな。」

目黒「え？」
















初めて、深澤さんを好きだと認める言葉を口にした。



こんなこと話したところで別になんてことは無い。
世界なんて変わらない。









彼を好きな理由。


仕事で落ち込んでた時に励ましてくれたから？

優しかったから？

かっこいい先輩だから？

お菓子をくれたり気にかけてくれるから？




いろんな理由を考えるけど、どれもしっくりこない。










きっとどれも違う。

そんなんで好きになったんじゃない。








それは、あくまできっかけでしか無かった。













どこがなんて一つに絞って言葉に出来ないけど。

きっと。

多分。





深澤さんだから、好きになった。


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