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目黒「何飲みます?」
「……生ビールで。」
目黒「あ、意外と飲めるんですね。」
目黒くんは「ノンアルかと思いました」なんて呟くけれど、彼の中の私ってどんなイメージなんだろう。
深澤さんがいるからって理由でよく飲み会に参加してたら、いつの間にか割と飲めるようになったんだってことは目黒くんには言わないでおこう。
きっとからかわれちゃうから。
さらっと私の飲み物も合わせてスマートに注文を済ませた目黒くんの視線は自然と私に向く。
目黒「Aさんと一緒にご飯にこれて嬉しいです。」
相変わらずニコニコ笑う彼には、私がどんな気持ちかなんて分かっていないんだろう。
ちょっと小洒落た居酒屋は、先輩から教えてもらったという目黒くんチョイス。
なんだか店内の雰囲気まで目黒くんに合っていて悔しい。
なんかこう、私服がダサいとか、そういう弱点ないのかなこの人には。
「目黒くんがあんなに会社の人のいるところで、あの話、しようとするから……」
目黒「すみません。俺も、本気でAさんに俺のこと見てほしいので。手段とか選んでいられないんすよね。」
真っ直ぐ、シラフでそんなこと言うなんて、ずるい。
こんな顔の整った人にそんなこと言われて、ドキッとしない免疫力のある女の子がこの世にいるのなら連れてきてほしい。
もれなく、私の顔は赤く染まる。
「お待たせしましたー」
そんな空気をぶった斬るように、店員さんが運ばんできた生ビールとサラダとアヒージョとポテト。
目黒くんが「乾杯しましょ」ってかわいくグラスを寄せてくるので、もう今日は苺のショートケーキは諦めてこのお店で好きなだけ美味しいご飯とアルコールを飲もうと腹を括った。
「ん!これおいしいっ」
目黒「ははっ、かわいっすね。」
一口食べたアヒージョが想像よりおいしくて思わず目黒くんにもオススメしただけなのに、見たことない優しい顔で笑う目黒くんになんて答えていいか分からず、無視することにする。
「……あの、このアヒージョ、美味しいけど熱いから気を付けてください。」
目黒「ふははっ、話の逸らし方不器用すぎてかわいいっす。」
「……」
目黒「かわいいって言うと、すぐ赤くなって黙っちゃうところもかわいいっすね。」
かわいいなんて言われ慣れてないから恥ずかしさで噴火しそう…。
誰か、この人の口を止めてください。
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たぬ(プロフ) - 塩さん» 胸が暖かくなるやさしいコメントをありがとうございます。まだまだ上手く書けないですが、これからも楽しんで頂けるようがんばります!読んでくださりありがとうございます。 (2月23日 20時) (レス) id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
塩 - ふわふわしてて可愛らしくて、綺麗な文でつくられているのでとても好きな作品になっています𓈒𓏸これからの展開も楽しみにしています…! (2月21日 22時) (レス) id: 2759139232 (このIDを非表示/違反報告)
たぬ(プロフ) - 翡翠さん» 続きを楽しみにして下さり、コメントもありがとうございます!泣いて下さるなんて、申し訳ない気持ちと嬉しい気持ちがせめぎ合っています。笑 続きも楽しめますように。 (2月13日 2時) (レス) @page40 id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 切なすぎて泣きながら読みました笑 続きが楽しみです (2月11日 22時) (レス) id: 6c0d9e0967 (このIDを非表示/違反報告)
たぬ(プロフ) - もぐさん» ご感想ありがとうございます。この作品が面白いのか私自身分からなくなってきていたのでそう言って頂けるととても嬉しいです。素敵な応援をありがとうございます。更新頑張れそうです…! (2023年2月24日 22時) (レス) id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たぬ | 作成日時:2022年11月27日 15時