▼ ページ2
.
目の前に立つ彼は、隣の部署の、営業部の新人。
モデルみたいな顔立ちと身長。
そして深澤さんの、後輩。
それくらいの認識しかない、年下の男の子。
「えっと。あ。ごめんなさい。私好きな人がいて。だからあなたの気持ちには応えられないです。」
「俺、目黒蓮って言います。ふっかさんより、俺を好きにさせるので俺と付き合ってください。」
真っ直ぐな瞳で私を見つめる目黒くん。
なんで、私が好きな人のことを知っているんだろう。
社内の誰にも話したことは無いのに。
しかも、こんな話した記憶のない他部署の後輩くんが知っているなんて。
＿＿＿深澤さんにも、バレてしまっているのだろうか。
ものの数秒でそんなことを考えてどうしよう、と不安になる。
思わず目黒くんの顔を見るけど、答えはわからない。
彼がただ勘の良いタイプなだけならいいのに。
それなら、まだ好きでいてもいいよね……？
目黒「……聞いてますか？」
こちらを見る彼の顔は、嘘とか罰ゲームとかそんな悪ふざけの告白じゃないことを物語っていて、返す言葉に詰まる。
私なんかのこと、なんでこんなイケメンが。
そもそも私の何を好きって言うんだろう。
目黒「Aさん？」
「あ、ごめん。……えっと、ごめんなさい。」
さっきよりもハッキリと。
頭を下げて伝えてみる。
…君に可能性はないよって。
目黒「ふはっ。そんな2回も言わなくていいですよ。」
目黒くんはさほど傷付いた様子もなく、笑う余裕もあるみたいで安心する。
……よかった。それくらいの想いで。
きっとすぐ、私のことなんか忘れて他の人を好きになれるんだろう。
彼の想いは、私とは違う。
不毛な片思いをして、相手の一挙手一投足に一喜一憂する情けない女とは。
＿＿＿本気で先輩を、深澤さんを好きな私とは、違う。
「じゃあ、私は、これで。」
居心地の悪いこの場所から、さっさと逃げ出してしまいたかった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1165人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
たぬ(プロフ) - 塩さん» 胸が暖かくなるやさしいコメントをありがとうございます。まだまだ上手く書けないですが、これからも楽しんで頂けるようがんばります！読んでくださりありがとうございます。 (2月23日 20時) (
レス) id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
塩 - ふわふわしてて可愛らしくて、綺麗な文でつくられているのでとても好きな作品になっています𓈒𓏸これからの展開も楽しみにしています…！ (2月21日 22時) (レス) id: 2759139232 (このIDを非表示/違反報告)
たぬ(プロフ) - 翡翠さん» 続きを楽しみにして下さり、コメントもありがとうございます！泣いて下さるなんて、申し訳ない気持ちと嬉しい気持ちがせめぎ合っています。笑 続きも楽しめますように。 (2月13日 2時) (レス) @page40 id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 切なすぎて泣きながら読みました笑 続きが楽しみです (2月11日 22時) (レス) id: 6c0d9e0967 (このIDを非表示/違反報告)
たぬ(プロフ) - もぐさん» ご感想ありがとうございます。この作品が面白いのか私自身分からなくなってきていたのでそう言って頂けるととても嬉しいです。素敵な応援をありがとうございます。更新頑張れそうです…！ (2023年2月24日 22時) (レス) id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：たぬ | 作成日時：2022年11月27日 15時
