私にも守れたら (ページ29)

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26話ページ29

さてさて、相変わらず防衛任務。しかし今日は祝日なので少し早めの夕方から。防衛任務、私だけ多い気がするの気の所為？？

昼食を取ったあと、早めに行こうと思い、駅へ向かう。電車でそのまま揺られながら数十分、三門市へ到着。

駅から本部へと歩いているとポケットに入れていた携帯電話が着信音と共に振動する。
開いてみると着信元は茜。

迷わず出て、「もしもし」と尋ねるが、嗚咽が聞こえてくるだけでいつもの明るい声は聞こえなかった。

「どうしたの茜、珍しくメソメソして…」

そう言ってもまだすすり泣く茜。
ゆっくりでいいよと言うと、少しした後に落ち着いたのか口を開いた茜。

「……うぅっ、実はね…」

「うん」

「茜…！」

現在私はボーダーでランク戦をして……
いるわけではない。今は親友の茜の家へと全速力向かっている。今なら短距離走の記録更新できるくらいの速さで。

理由はさっきの茜からの電話。

茜がボーダーをやめる、

泣きながら茜が必死に言った一言。それを聞いた瞬間、ボーダーへと向けていた足を戻し、即座に茜の家へと向かってかけていった。

茜の家はさっきいた所からはさほど遠くはなく、無我夢中で走っているといつの間にかこの角を曲がったら着くくらいの距離になっていた。

走り続けて息が上がる中、角を曲がった先の茜の家。その前には涙と鼻水で顔がぐちゃぐちゃになった茜がいた。

「はぁ…はぁ…」

「ううっ、Aぢゃん…」

汗はダラダラ、呼吸も上がり、恐らく顔を真っ赤だろう。だが今はそんな事どうでもいい、

「っはぁ…、あ、茜さっきの電話…」

ようやく落ち着いた体を動かし、茜に近づきながら声を絞り出す。

「ｸﾞｽｯ……前の大規模侵攻がきっかけで、卒業したら引っ越すって…そのときにボーダーも辞めさせるって、か、母さんが…！」

「……そっか」

「ううっ、ｸﾞｽｯ…ごめん。もっと、もっど皆と、Aちゃんともいっじょにいだがっだ…！！」

と言うと、目に溜まっていた涙が留まりきれずにその瞳から滝のように流れ、私に抱きついてきた。

「…泣かないでよ、もっと悲しくなっちゃうよ」

私の肩で泣き続ける茜の背中を撫でながら、涙をこらえてそう言う。
平常を装っているけど、実際はとても悲しい。泣きたいほどに。

ボーダーに入って一番最初にできた友達がいなくなってしまうのだ。そりゃ悲しいよ。正直に言えば行かないでほしい。

―――
お久しぶりです。更新遅れてすみません