私にも守れたら (ページ14)

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12話ページ14

小魚たちの前に立ちふさがったのは黒い炊飯器。
すごいあの炊飯器。シールド出した…。とか一人で驚いていると、小魚が触れたシールドの部分はなくなり、キューブになる。キューブ化…？的なやつかな。

すると民家へ逃げ出す三雲くんと炊飯器。一瞬目があったような気もするが…多分気のせいだろう。
それに見た感じ、あの人型近界民は三雲くん狙ってるっぽいし、援護したほうがいいかな。

本当はもう少し情報が欲しかったけど仕方ない。
そう思いながら、立ち上がって孤月を抜き、戦闘態勢に入る。

立ち上がったときの物音で気が付いたのか、人形がこちらを見る。

「…伏兵が潜んでいたか…」

「(私は伏兵なのか…？)」

こちらを見ながら言う人型。果たして私は伏兵なのだろうか。そこらへんちょっと微妙。

するとまた口を開く人型。

「気配を隠すのが上手いな。腕を見てみたい所だが……行かなければならないのでな…」

そう言うと、また黒いワープが出てきて同じく角の生えた女性が現れる。そして小さめのワープに次々と魚を投入していく。
恐らく行き先は三雲くんの方……。

「…あ！やめろ！」

ハッとなって、そう言いながら相手に近づくが、ワープの中へ逃げられてしまう。
しまった。絶好のチャンスだったのに。

取り敢えず三雲くんのところへ…

と思ったその時、連絡が入った。

『鶴間さん！聞こえるか！？』

「…三雲くん？」

相手は三雲くんだった。
聞こえてるよ、と返事をすると、慌てたように私に告げた。

“助けてほしい”

その言葉を聞いて目を見開いた。
そして、街の人々の姿が思い浮かんだ…。

…そうだ。ぼーっとしてる場合じゃない。早く助けないと…。助けなければならない人がいるんだと。改めて思い知らされた。

私は三雲くんに、位置や、相手のトリガーの性能などを聞きながら、現地へ向かう。
そう遠くへは行っていなかったようで、私が着いた位置からは人形の後ろ姿が見える。

その奥にはしゃがみ込む三雲くん。

「鶴間さん…！」

「おまたせ、三雲くん」

私の声が聞こえると同時にこちらを勢いよく振り返る人型近界民。その顔は少し驚いているようにも見える。

すると、三雲くんの奥から足音が聞こえ、身体を横に向けながら、顔だけを反対側へ向ける人型。

その方向には、

「標的を確認した。処理を開始する」

「…三輪先輩…？」

大好きな先輩が孤月を抜いてこちらへ向かっていた。