たぬたぬきいんふぉめーしょん。[うらたぬき]

はーち ページ8

「A………んー………」

名前を呼ばれてびくっと反応してしまう。ソファーの上ですやすやと眠る無防備な渉くん。

可愛い。

つんつん、と頬をつついてみる。すると顔を歪めて、寝返りをうってしまった。………うーん、可愛かったのになぁ。

やっばり寝ちゃうだろうとは思ってたけど、まさか本当に直ぐ寝ちゃうとは。

よっぽど疲れてたんだろうな。

スマホを手に取り、ツイッターを見たり、全然確認していないで300件以上溜まっていたメールを見たりしていた。

あれ、電話?

スライドして出る。あ、しーくんじゃん。

『もっしもーし、しーくーん』

「Aーお久しぶりやーん」

口調がだらしなく、へらへらと喋っている。もしかして……

『しーくん飲んでる?』

あったりー、はははと何故か笑うテンションがいまいち掴めない人。うーん、どうして電話してきたんだろう。

『どうしたの?渉くんならもう寝てるよ』

「んーん、違うの。Aの声聞きたくてさー」

『何それ照れちゃう。いつから彼氏みたいな事言うようになったの。私彼女になった覚え無いけど』

じゃあ俺と付き合うー??なんて笑いが要り混じった冗談。イケボの破壊力恐ろしいよ。この世で2番目位に怖い。

「いっつもはさぁ、番犬……ん、違うな。狸……番狸がいるからさ〜〜まともに喋れないから話したいなぁって」

『しーくんに対しての警戒心強めだもんね』

「やっぱAもそう思うやろぉ?だってさーうらたさん……………」

『なに??ごにょごにょ言ってて聞こえない』

滑舌が悪くなり始めたので、相当飲んで居るんだろう。缶と缶が当たる音が電話の向こうから聞こえた。

「もー、うらたさんは独占欲強すぎなのー!!!!今度遊ぼうなAー」


.


.


.


あれ、切れた。

何がしたかったのかよくわからない電話だった。……お風呂入ってとっとと寝よう、明日も仕事だし。

寝ている渉くんにそっと布団をかけて、自室へ戻った。

きゅーう→←なーな

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