検索窓
今日:5 hit、昨日:6 hit、合計:50,036 hit

じゅーろく ページ16

一人でホームに佇む、午後6時。

こんなに早く会社を出れたのに、何故か足取りは重い。渉くんと約束している焼肉屋さんに直で向かうため、家と反対の電車に乗ろうと、電車を待っている。

私の周りには、スーツの人や制服を着た人がわんさか沸いている。

その騒がしさを忘れるかの様に、今日の出来事を一人振り返っていた。

まだ、誰にも言っていない。

千羅くんにすら、言えてない。社長に呼び出された事すら、言ってない。

勿論、しーくんや、優くんにだって。

言えるならとうの昔にすんなり行っている筈だろう。

「Aー」

そんな私の悶々とした考えを遮ったのは、優くんだった。

噂をすればなんとやら、いつも通りのゆるゆるっとした可愛い格好で、ぶんぶんと腕が引きちぎれそうな程手を振っていた。

マスク越しでも分かるにこにこの笑顔に、ふと私も気が抜けて笑ってしまった。

『優くーん!!』

素早く駆け寄ると、スーツやぁ、なんて可愛らしく驚いている。

『会社の帰りでね、優くんは?』

「僕はね、ライブのリハーサルの帰り!あれ、でもAって反対じゃなかったっけ??」

こて、と首をかしげた無自覚あざと天使。

ええ、とても様になっていますよ。当たり前じゃないですか。

『それがね、今から渉くんと焼肉行くんだ!』

「そうなん!?えー、僕も一緒に行きたーい」

『良いよ良いよ、じゃあ飛び入り参加して渉くん驚かせちゃお!!』

うぇーい、とさっきまでのテンションが急上昇する。流石赤色のハイテンション王子。(自分で勝手に付けた)

人の暗い心を晴らしてくれますな!!

「てかてか、スーツ姿のAって新鮮!!!」

いつも私服だもんね、と言葉を返す。

「あ、そうだ、センラは?」

『まだ仕事。後輩が失敗しちゃったのを直してるみたい。』

早く仕事を終わらせた私は、千羅くんに手伝うか聞いたが、うらたんと約束あるんやろ?と営業スマイルで送り出してくれた。

うーん、イケメン。

明日顔が死んでいたら、お昼でも奢ってあげようかな。

「へぇー…大変やなぁ」

御愁傷様や、と言っていたので、そんな漢字ばかりの単語知ってるんだ、と心の中で馬鹿にしてしまった。

声に出てないからセーフ。顔に出てたらイエローカードだけど。

「てかさー歌ってたらさー」

テンポ良く話が進んでいくので、相槌を打つ。コロコロと世話しなく話題が変わって行くので、気付かない内に電車が来た。

「んでな、」

関西人故のマシンガントークと言う奴か。

じゅーなな→←じゅーご



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (113 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
432人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ぽにょはふねをおいかけている - 三度の飯より華声が好きさん» 間違えてました!!!直ちに修正致します。(ご指摘ありがとうございます)これからも読んで貰えると嬉しいです^^; (2018年12月3日 19時) (レス) id: 3949c433dc (このIDを非表示/違反報告)
三度の飯より華声が好き(プロフ) - 楽しく読ませていただいてます!失礼かもしれませんが、じゅーろく話で大阪人と書いてありますが、坂田さんは大阪ではなく、兵庫出身の方です。一応直さないとって思ってすみません、、、 (2018年12月2日 23時) (レス) id: af24b820c6 (このIDを非表示/違反報告)
ぽにょはふねをおいかけている - 優帆さん» コメントありがとうございます!!作品気に入って貰えたみたいで嬉しいです!これからも見てやって下さい!! (2018年11月30日 18時) (レス) id: 3949c433dc (このIDを非表示/違反報告)
優帆(プロフ) - コメント失礼します〜!この作品大好きです。更新頑張ってください!! (2018年11月29日 19時) (レス) id: e9cc48fd0c (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ぽにょはふねをおいかけている | 作成日時:2018年11月25日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。