じゅーよん ページ14
ぐいーんと音をたててどんどん上へ上がっていくエレベーター。無機質な灰色の空間で、私はボタンの色の動きを見ていた。
オレンジ色のライトが、今居る階数を照らしている。
あれ、うちの会社ってこんなに階あったっけ?デカかったっけ?
前に一度だけ行った本社の方が明らかに横にも縦にも大きかったが、ここもかなり大きい方なのでは無いか。
そんな事を考えていると、いつの間にか社長室がある階に。
勿論社長室なんて行ったこと無いので、本当にここがそうなのかすら危うい。そう思った矢先に[社長室]と言う文字が遠くで見えた。一安心。
一人で歩く静かな廊下。
ガラスから見えるいつもの景色も、今日はいつもより高い所から見ているせいか、少し遠く、小さく感じる。
社長室の前についた。
大きい2つの扉を目の前にして、息を飲む。コンコン、とノックした。
『雛野Aです。』
「入って」
『失礼します。』
銀色のドア取っ手を掴んで扉を押す。ツルツルとした白い床、程好く明るい部屋の中。
静かに扉を閉め、社長の座る席へ近付く。
「そこ、座ってくれ。」
それ、と黒いソファーを指して、私が座るソファーと正面のソファーに座った。
『はい。…社長、あの。』
「用件はそんなに焦らなくていい、私は君と話したくてね。」
緊迫感があった空気は一気に溶け、社長は満面の笑みになった。
「君、○○グループの社長に気に入られているみたいだね。」
『有難い事に、そうみたいです。気さくに話をして頂けたり、こちらの会社のご要望なんかも頷いて頂けたり……』
○○グループの社長は、私のお父さんと同い年で。初めに挨拶しに行った時に、お父さんが昔よく話してた内容の話題を振られて、その話題で盛り上がった所から、
気に入って貰えてたんだろう。
「他にも、難攻不落と呼ばれていた会社なんかも説得して……本当に、優秀な社員が居てくれて良かったよ。」
じゃあ休日出勤も残業も廃止にしませんか、と提案しそうになった所で口を閉じた。
危ない。危ない。
うっかり給料も上げろって言っちゃう所だった。
いつの間にか出されていたお茶を飲み、喉の乾きを潤す。
『ありがとうございます。』
「じゃ、早速本題に入ろうと思うんだけど…」
んん、と咳払いが入る。社長は首をぽりぽり書いて、私に直球で伝えた。
「君、九州の方の会社に移動してくれないか?」
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ぽにょはふねをおいかけている - 三度の飯より華声が好きさん» 間違えてました!!!直ちに修正致します。(ご指摘ありがとうございます)これからも読んで貰えると嬉しいです^^; (2018年12月3日 19時) (レス) id: 3949c433dc (このIDを非表示/違反報告)
三度の飯より華声が好き(プロフ) - 楽しく読ませていただいてます!失礼かもしれませんが、じゅーろく話で大阪人と書いてありますが、坂田さんは大阪ではなく、兵庫出身の方です。一応直さないとって思ってすみません、、、 (2018年12月2日 23時) (レス) id: af24b820c6 (このIDを非表示/違反報告)
ぽにょはふねをおいかけている - 優帆さん» コメントありがとうございます!!作品気に入って貰えたみたいで嬉しいです!これからも見てやって下さい!! (2018年11月30日 18時) (レス) id: 3949c433dc (このIDを非表示/違反報告)
優帆(プロフ) - コメント失礼します〜!この作品大好きです。更新頑張ってください!! (2018年11月29日 19時) (レス) id: e9cc48fd0c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽにょはふねをおいかけている | 作成日時:2018年11月25日 15時