たぬきと犬とてるてる坊主と

洗濯物 その2 ページ9

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あ「…Aちゃん！！」


下からあんくさんの声がする。


あ「俺が受けとめるから枝から手を放して！」

「そんなの、できない！」

あ「いいから！早く！」

「でも！」

あ「俺を信じて！」


信じる…

正直ここから手を放すなんてこと、怖くてできない。
私が怪我をしなくてもあんくさんが怪我をしてしまうかもしれない。

最悪二人とも怪我をする場合もあると思う。


あ「Aちゃん！！」

「っ…」

あ「俺が絶対受けとめるから！！」

「わ、わかりました…」

あ「そのまま手を放せばいいから！」


目をつぶって、呼吸を整えてから私は枝から手を放した。


地面に落ちた感覚はなく、その代わりに大きな身体に抱きしめられた感覚がした。


あ「大丈夫？」

「怖かった…」

あ「なんでこんなことしたの！…心配したよ。」

「だって…帽子を！」


服の中から帽子を取り出し、あんくさんに渡す。


「元気なかったから…」

あ「…馬鹿だね」

「ごめんなさい。」

あ「でもありがとう」


私を自分の方にそっと抱き寄せ、ギュッとあんくさんの胸に押し付けられる。


「あんくさん…苦しい」

あ「我慢しなさい。」


あんくさん…震えてる。


あ「もーう本当に心配したよ」

「うん」

あ「よかった本当によかった」

「うん」

あ「これから絶対に危ないことしないって約束して！！」

「うん絶対」

あ「じゃあ指切りげんまんね」


大きな木の下で
あんくさんと指切りげんまんして、絶対こういう危ないことはしないって約束をした。


ま「ねぇ」


どっからかまふくんの声がして、二人で周りをキョロキョロ見回す。


ま「上！上です！窓です！」


上を見上げると、窓からまふくんが見下ろしていた。


「ま、まふくん！」

ま「なにしてるの。しかもそんなにビショ濡れで！」

あ「なにって…ねぇ？」

「え？」

ま「僕に言えないようなことなの？」

「ちがうよ！色々あって！」

ま「色々？！」


まふくんの顔が段々と険悪になっていく。


ま「後で事情聴取ですからね！」

「え、ちょっと！」


バタンと窓を閉めて部屋に戻っていってしまった。


あ「あーぁ」

「あーぁって！あんくさんのせいですからね！」

あ「ひどいなぁ！でも本当は嬉しかったり？」

「しません！」


でも、あんくさん元に戻ったみたい…


「よかった」


このあと、二人してうらたさんに怒られたことは無かったことにしようと思います。

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