たぬきと犬とてるてる坊主と

看病 その2 ページ11

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部屋に戻って来たまふくんは、薬と一緒に、冷蔵庫に入ってた果物を小さく切って持ってきてくれた。


「わ！ありがとう」

ま「ちゃんと看病しなきゃうらたさんとあんくさんに怒られるからさ」


嫌々やってるのかなって思ったけどちがった。
私の身体を起こすのに手を貸してくれて、薬も飲ましてくれたし、果物も食べさしてくれた。


ま「あとは寝た方がいいね」

「うん」

ま「おやすみ」


ゆっくり目を閉じる。
けど、
まふくんが部屋から出ていく気配が全くない。

一度目を開ける。


ま「あれ」

「自分の部屋戻らないの？」

ま「戻った方がいい？」

「いや、どっちでも…」

ま「じゃあいる」


もう一度目を閉じる。

だけど
見られてると思うと全く眠れない。

するとおでこに冷たい感触


「んっ」

ま「辛そう。僕が変わってあげられたらいいのに」


まふくんの手だ。

気持ちいい


ま「A」


突然名前を呼ばれてびっくりして目を開ける。
まふくんに呼び捨てされたのは初めてだ。


ま「熱があるからかな…色っぽい」


私のおでこに優しく触れてた手が、次は頭に移動してゆっくり撫でられる。


「気持ちいい」


ふとこぼれた言葉

まふくんは嬉しそうに微笑んだ。


ま「今日他の2人が居なくてよかった」

「なんで？」

ま「そういう顔、見ていいのは僕だけ」

「まふくん、今日変じゃない？」


いつもだったらもう少し素っ気ないっていうか。私に対して興味ないっていう態度だから


ま「そうかな…僕も熱あるのかな」

「え！移しちゃったかな？」

ま「嘘」

「でも本当に移しちゃうかもしれないし、やっぱり部屋に戻った方が」

ま「やだ」

「でもっん」


まふくんが私の口に人差し指を置く。


ま「その顔、本当にやめて」


その顔って、何？
聞きたくても口元に人差し指を置かれてて口を開けられない。


ま「他の2人だったら食べられてたよ。僕でも我慢してるんだから」


シーンと静まり返った部屋
この家にはまふくんと2人

今日ってこんなに静かだったんだ。


ま「今更気づいたでしょ」

「え」

ま「今日は僕と2人きりなんだってこと。」

「うん…静かだなって」

ま「ほんと無防備」


しっかりしなよってほっぺをつねられた。


「いたいぃ」

ま「女の子って怖いねぇ。熱があるだけでこんなに可愛いんだ」

「いつも可愛いくなくてすみませんね」


まふくんがゲラゲラ笑ってる。


「でもありがとう」
っていうと

「こちらこそ」
って返された。

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