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横浜の街を3人で散策したのち、居酒屋で夕食を済ませた。
ユンギ先生はそのあと空港へ。
これから熊本へ寄って、明日の昼間に韓国へ帰国するそうだ。
きっとあのクマのキャラクターのグッズを買い漁るのだろう。
あんなにムスッとした顔の男の人が、可愛いクマを一生懸命吟味している姿を想像すると笑えてくる。
帰りの電車の中は満員だった。
野球の試合があったのだろう。
青いユニホームの人で埋め尽くされている。
「平気?」
ジョングクは私を守るように立つ。
電車の揺れで倒れないように、さりげなく支えてくれている。
「ありがとう。大丈夫」
最寄駅に着く頃には私も彼もクタクタだった。
満員電車に乗って通勤している人たちは朝からこんな大変な目に合っているんだろうか。
考えただけでもゾッとしてしまう。
家までの帰り道。
駅からマンションまで徒歩15分程度だ。
「暑い。なんか飲もう」
彼は手をパタパタさせながらコンビニを指差した。
その隣にはコーヒーショップがある。
「コンビニじゃなくて、そっちのお店に寄る?」
「…」
彼は難しそうな顔をして私を見つめた。
あ、そうか。
彼はコーヒー嫌いだった。
「コンビニにしようか。色々選べるし」
「うん。俺、炭酸がいい」
「またー?」
本当に子どもっぽいんだから。
コンビニに入る時、コーヒー豆の匂いがふんわり漂ってきた。
なんだかとても懐かしく感じる。
でも、別にいいか…。
あんまり考えるなってユンギ先生も言ってたし。
ユンギ先生の治療?のおかげか気分が悪くなることはなかった。
それに深く考えようとする気にもならなかった。
「A、少しお腹減らない?」
「私は平気だけど」
「フライドチキン食べようかなあ」
「ええ?!さっきユンギ先生の残した分まで食べてたじゃん!」
「いいの。俺は育ち盛りだから」
「太るよ」
「俺太ってないでしょ?鍛えてんの。だからいいの」
ムスッと頰を膨らます彼は最高に可愛かった。
「仕方ないなー。買いなよ。というかグクのお金なんだもん、好きに使いなよ」
「俺たち夫婦の財産だから、ちゃんとAにも相談しないとね」
また恥ずかしくなるような事を平気で言ってくる…。
大きい買い物ならまだしも。
フライドチキンくらい一人でたくさん食べてくれてもいいのに。
彼はとてもいい旦那さんだ。
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ソラン(プロフ) - shinov347さん» コメントありがとうございます!そんなこと言って頂けるなんて、嬉しいです(^^)続編頑張ります!これからもよろしくお願いします! (2018年8月30日 19時) (レス) id: 8103dd882b (このIDを非表示/違反報告)
shinov347(プロフ) - この作品!!本当にびっくりするほど面白くて、興奮しっぱなしでした。。。作者様天才ですほんとに。続き心から楽しみに待っています。このストーリー思い付いた作者様本当に神ってます。ほんとに。 (2018年8月30日 18時) (レス) id: 7f3f1e52e8 (このIDを非表示/違反報告)
ソラン(プロフ) - ちむちむさん» ありがとうございます!ちょっと展開急ぎすぎた感ありますが、最後までぜひ読んでください〜! (2018年8月30日 12時) (レス) id: 8103dd882b (このIDを非表示/違反報告)
ちむちむ - 今見ました!凄い展開ですね!楽しみです!頑張ってください! (2018年8月29日 23時) (レス) id: 44bb68e7e6 (このIDを非表示/違反報告)
ソラン(プロフ) - うゆ子さん» コメントありがとうございます!第1章、なんとか終わりそうです^ ^ぜひ最後まで見届けてください! (2018年8月29日 22時) (レス) id: 8103dd882b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ソラン | 作成日時:2018年8月21日 20時