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黒のスキニージーンズと白のTシャツ。
それだけなのにジョングクはうまく着こなしている。
すれ違う女の子たちはみんな二度見するか、ガン見するか。
「グクと出かけるとすごい優越感!」
「え?」
当の本人はポケ〜としているから笑ってしまう。
「女の子がみんなグクのこと見てるから。私、その人の奥さんだなんて、とってもいい気分」
「性格悪いな〜」
「だって、本当にグクがカッコいいんだもの。みんな見てる」
「そう?そうかなー?」
呑気に彼は笑っている。
私ってたしかに性格悪いかも。
でもみんなが私を羨ましそうに見ている。
そんなのを何年も経験していると、本当にいい気分になってしまう。
仕方ないこと。
全部かっこいいジョングクが悪い!
……あれ、なんで私は彼と結婚したんだろう。
もちろん好き同士だったから。
でも、どちらから告白した?
何ヶ月、いや、なんねん付き合った?
プロポーズの言葉は??
思い出せない。
彼との出会いなんて全く覚えていない。
なんとなくゾッとして、立ちくらみがした。
「A、また具合悪いの?」
「…最近ちょっと」
そう、最近になってこういうことが増えた。
去年もその前の年も、夏になるとこうなる。
通常なら思い出そうともしないし、少し過去のことを考えただけでは具合が悪くなることはない。
夏になると過去のことをとても考えてしまう。
思い出そうと必死になってしまう。
夏に、私は……。
「久しぶりにユンギ先生に診てもらうか」
「…うん」
ユンギ先生とは私の主治医だ。
基本韓国にいるが、彼の昔からの馴染みらしくて平気で日本まで来てくれる。
なんでも熊本のマスコットキャラクター、くまモンの大ファンだそうだ。
だから日本に来るのは全然苦ではない、そう言ってくれた。
「今日、帰ったら電話してみる」
「ありがとう、ごめんね」
「Aが謝る必要ないんだよ」
「でも」
「俺が悪いんだよ」
「…?」
「……なんでもない」
ぎゅっと私の手を握って、彼は歩き出した。
気がつけば目的地であるハンバーガーショップが間近にあった。
「いい匂いがする。A、まずは食べよ。ね」
彼はいつも通りの優しい笑顔を私に向けてくれた。
「うん!」
彼の手を握り返し、私は歩き出す。
彼は嬉しそうに顔をくしゃっとして笑った。
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ソラン(プロフ) - shinov347さん» コメントありがとうございます!そんなこと言って頂けるなんて、嬉しいです(^^)続編頑張ります!これからもよろしくお願いします! (2018年8月30日 19時) (レス) id: 8103dd882b (このIDを非表示/違反報告)
shinov347(プロフ) - この作品!!本当にびっくりするほど面白くて、興奮しっぱなしでした。。。作者様天才ですほんとに。続き心から楽しみに待っています。このストーリー思い付いた作者様本当に神ってます。ほんとに。 (2018年8月30日 18時) (レス) id: 7f3f1e52e8 (このIDを非表示/違反報告)
ソラン(プロフ) - ちむちむさん» ありがとうございます!ちょっと展開急ぎすぎた感ありますが、最後までぜひ読んでください〜! (2018年8月30日 12時) (レス) id: 8103dd882b (このIDを非表示/違反報告)
ちむちむ - 今見ました!凄い展開ですね!楽しみです!頑張ってください! (2018年8月29日 23時) (レス) id: 44bb68e7e6 (このIDを非表示/違反報告)
ソラン(プロフ) - うゆ子さん» コメントありがとうございます!第1章、なんとか終わりそうです^ ^ぜひ最後まで見届けてください! (2018年8月29日 22時) (レス) id: 8103dd882b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ソラン | 作成日時:2018年8月21日 20時