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「…A」
私の名前を呼んだ声の主はユンギ先生だった。
いつの間にか寝てしまったらしい。
外は明るかった。
時計を見ると9時になるところ。
ユンギ先生はいつも午後に来ていた。
よほど急いで来てくれたんだろう。
今回はきっとお土産はなしだろうなぁ。
「ユンギ先生、お久しぶりです。こんな格好で申し訳ないです…あはは」
結束バンドで両手首両足首を縛られて、鎖で繋がれて寝転んでいる。
人に会う格好ではない。
「よかったよ、おまえがまともなままで」
ユンギ先生はどうやら私が暴れていると思ったらしい。
ジョングクは電話で私に秘密がバレたから拘束した、としか伝えていなかったようだ。
「ユンギ先生、グクは?」
「あいつも相当精神的に参ってるみたいだったからな、精神安定剤飲ませて、今はソファーで横になってる」
寝てないのだろうか。
あんなことがあった夜だ。
眠れなかったに違いない。
「私、どうなっちゃうんですか?」
「さあな」
「さあなって…」
ユンギ先生は肩を竦めて見せた。
「俺はおまえが暴れてると思って色々用意して来たんだよ。
記憶をまた消して、穏やかな結婚生活真っ最中の記憶をインプットさせようとな」
「私、大丈夫です」
「みたいだな」
私たちはとりあえず、ジョングクが起きてくるのを待つことにした。
その間、私はユンギ先生に韓国へ行ったことを報告した。
どうして行ったのか、行って何を知り、何を思ったのか。
そして昨日のことも。
「じゃあAは、まだ全然記憶は戻ってないってことか」
「はい、全然です」
「厄介だな」
「すみません…」
ユンギ先生は「ははは」と珍しく笑った。
自分で持って来たらしいペットボトルの水をわたしにも分けてくれた。
そういえば昨日の昼から何も食べていない。
いつもは彼が持って来てくれるけれど、さすがに昨日は無理だった。
「お腹減っちゃいました…」
「あー、俺の食いかけでよかったら」
そい言って美味しそうなフレンチトーストを分けてくれた。
よかった。
本当にユンギ先生が来てくれてよかった。
今更涙が出そうになった。
フレンチトーストを頬張って、なんとか堪える。
「私、本当に彼に『嫌い』とか『消えて』なんて言ったんでしょうか…」
どうしてもそれが私の中で引っかかっていた。
私がそんなことを言ってしまった理由を、早く思い出したかった。
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ソラン(プロフ) - shinov347さん» コメントありがとうございます!そんなこと言って頂けるなんて、嬉しいです(^^)続編頑張ります!これからもよろしくお願いします! (2018年8月30日 19時) (レス) id: 8103dd882b (このIDを非表示/違反報告)
shinov347(プロフ) - この作品!!本当にびっくりするほど面白くて、興奮しっぱなしでした。。。作者様天才ですほんとに。続き心から楽しみに待っています。このストーリー思い付いた作者様本当に神ってます。ほんとに。 (2018年8月30日 18時) (レス) id: 7f3f1e52e8 (このIDを非表示/違反報告)
ソラン(プロフ) - ちむちむさん» ありがとうございます!ちょっと展開急ぎすぎた感ありますが、最後までぜひ読んでください〜! (2018年8月30日 12時) (レス) id: 8103dd882b (このIDを非表示/違反報告)
ちむちむ - 今見ました!凄い展開ですね!楽しみです!頑張ってください! (2018年8月29日 23時) (レス) id: 44bb68e7e6 (このIDを非表示/違反報告)
ソラン(プロフ) - うゆ子さん» コメントありがとうございます!第1章、なんとか終わりそうです^ ^ぜひ最後まで見届けてください! (2018年8月29日 22時) (レス) id: 8103dd882b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ソラン | 作成日時:2018年8月21日 20時