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それからポツポツとだが、色々話してくれた。


ジョングクの父は彼に甘いから、私をこんな酷い目に合わせていることは黙秘しているようだ。

本当なら誘拐なのに…。



「ねえ、なんで私の記憶を消して、夫婦のフリをしていたの?」

「Aが好きだったから」


えっ。


私に告白しなかったのだろうか。

告白してくれていたら、絶対にオッケーするはずなのに。


ぽかんとしている私を彼は真顔で見つめる。



「私、グクのこと好きだよ?」

「それは催眠術がかかってるからだよ」

「え?!催眠術??」

「うん。ユンギヒョンが得意だから」


じゃあ私の、ジョングクを好きという気持ちも、ジョングクと夫婦という関係も、

全部まったくの嘘なの??



そんな、


夫婦は嘘かもしれない。

でも、私はちゃんと彼を好きだった筈だ。


未だに死んだ目をしているジョングクに向かって私は訴えた。


「私、記憶をなくす前から絶対にあなたが好きだよ!」

「…何言ってんの」

「だって、うまく説明はできないけど…」


コーヒーショップで彼と少しの時間おしゃべりする記憶。

その記憶を思い出すと同時に、胸がぎゅっとなる。

それはきっと記憶の中の私の感情だ。


私はあの頃からジョングクが好き。


「A、もういいから」

「本当なの、私…」

「うるさい!」


彼は大きな声を出して突然起き上がった。

私はびっくりして体を硬直させる。


彼は泣いていた。


「覚えてないんでしょ?全部」

「…うん」

「ならそうやって平気で俺を好きなんて言わないで」

「……でもっ」


「じゃああの涙は何だったんだよ!!」


ドン!と大きな音がして、少し振動が伝わった。

彼が壁を殴ったのだ。


あの涙…?

あの涙って……??


「俺が告白した時、本気で告白した時、A、泣いたよね」


覚えていない。


「自分の言ったセリフ、覚えてないんでしょ?」


彼は笑った。


「『いい加減にして。私の前にもう現れないで』」



……私が、そんなことを言ったの?

信じられない。


「そ、そんな、」

私は必死に思い出そうとした。


彼は真剣な顔だった。

「それと、その後にAはたしかに俺に言ったんだよ」

「『あんたなんて嫌い、消えて』って」


呆然とする私を他所に、彼は涙を拭きながら寝室から出て行ってしまった。


それから彼は夜になっても寝室に現れなかった。



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設定タグ:防弾少年団 , BTS , ジョングク   
作品ジャンル:恋愛
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ソラン(プロフ) - shinov347さん» コメントありがとうございます!そんなこと言って頂けるなんて、嬉しいです(^^)続編頑張ります!これからもよろしくお願いします! (2018年8月30日 19時) (レス) id: 8103dd882b (このIDを非表示/違反報告)
shinov347(プロフ) - この作品!!本当にびっくりするほど面白くて、興奮しっぱなしでした。。。作者様天才ですほんとに。続き心から楽しみに待っています。このストーリー思い付いた作者様本当に神ってます。ほんとに。 (2018年8月30日 18時) (レス) id: 7f3f1e52e8 (このIDを非表示/違反報告)
ソラン(プロフ) - ちむちむさん» ありがとうございます!ちょっと展開急ぎすぎた感ありますが、最後までぜひ読んでください〜! (2018年8月30日 12時) (レス) id: 8103dd882b (このIDを非表示/違反報告)
ちむちむ - 今見ました!凄い展開ですね!楽しみです!頑張ってください! (2018年8月29日 23時) (レス) id: 44bb68e7e6 (このIDを非表示/違反報告)
ソラン(プロフ) - うゆ子さん» コメントありがとうございます!第1章、なんとか終わりそうです^ ^ぜひ最後まで見届けてください! (2018年8月29日 22時) (レス) id: 8103dd882b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ソラン | 作成日時:2018年8月21日 20時

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