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「ずっとベッドの上にいて」
「と、、トイレは?」
「俺を呼んで。担いで連れて行く」
「グク、お願いこんなことやめて!」
必死になって懇願した。
でも彼は聞いてくれない。
ベッドから降りようとすると彼は私の肩を押し倒す。
「まってて」
そう言って彼は寝室から出て行った。
今は抵抗したりしちゃダメだ。
逆効果だ。
私がなにもせずに、大人しくすることを彼に理解してもらわないと。
じっとベッドの上で彼を待った。
じゃら、と音がして彼が現れた。
両手には鎖。
いったいいつ買ったんだろう。
どこに置いていたんだろう。
私は怪訝そうな顔をしていたのだろうか。
彼は真顔で答えた。
「Aを日本に連れて来る時に使ったやつだよ」
「え…」
「その時は気絶してたけど、念のため」
「グク…?」
「3年前も、このベッドに同じように縛り付けたよね」
そう言って彼は腕の結束バンドの隙間から器用に鎖を通して、ベッドの足に繋げた。
まるで首輪を繋がれた犬だ。
逃げられない。
「こんなことしても逃げないよ!」
「だめ。俺が不安になるから」
「この先一生、こうしていたらいいの?」
「ユンギ先生を呼んであげる」
「ユンギ先生を…?」
背筋がぞわぞわした。
あんなに頼もしかったユンギ先生が、今は怖い。
「また一からだね」
「なに言ってるの?」
「記憶をまた消してもらうんだよ」
「!?」
「塗り替える。何度でも」
「そんな…!」
やめて!
私とジョングクの3年間の記憶を消さないで!
あんなに幸せな時間を…!
そう言いたかったのに、言葉が出なかった。
恐怖で震えていたからだ。
全く思い通りに体が動かないのだ。
「ヒョン呼ばないと…」
彼は独り言のようにそう呟いて、ふらふらと寝室から出て行った。
鎖はご丁寧に鍵付き。
彼じゃないと解けないということだ。
…私は記憶を失ったのではなく、消されたんだ。
きっとユンギ先生によって。
そして新しい記憶、ジョングクと夫婦という記憶を上書きされたんだ。
こんな時でも冷静に考えられた。
韓国で買った考察ノートにメモしておきたい。
また記憶を消され、ジョングクと夫婦だということしか分からない自分になる前に…。
でもどうあがいても結束バンドは取れない、鎖もじゃらじなら音を立てるだけだ。
でも何故だろう。
私たちは両想いだったんじゃないの…??
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ソラン(プロフ) - shinov347さん» コメントありがとうございます!そんなこと言って頂けるなんて、嬉しいです(^^)続編頑張ります!これからもよろしくお願いします! (2018年8月30日 19時) (レス) id: 8103dd882b (このIDを非表示/違反報告)
shinov347(プロフ) - この作品!!本当にびっくりするほど面白くて、興奮しっぱなしでした。。。作者様天才ですほんとに。続き心から楽しみに待っています。このストーリー思い付いた作者様本当に神ってます。ほんとに。 (2018年8月30日 18時) (レス) id: 7f3f1e52e8 (このIDを非表示/違反報告)
ソラン(プロフ) - ちむちむさん» ありがとうございます!ちょっと展開急ぎすぎた感ありますが、最後までぜひ読んでください〜! (2018年8月30日 12時) (レス) id: 8103dd882b (このIDを非表示/違反報告)
ちむちむ - 今見ました!凄い展開ですね!楽しみです!頑張ってください! (2018年8月29日 23時) (レス) id: 44bb68e7e6 (このIDを非表示/違反報告)
ソラン(プロフ) - うゆ子さん» コメントありがとうございます!第1章、なんとか終わりそうです^ ^ぜひ最後まで見届けてください! (2018年8月29日 22時) (レス) id: 8103dd882b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ソラン | 作成日時:2018年8月21日 20時