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「なんで混浴じゃないんだろう」
「バカ言わないで!」
お目当ての温泉旅館に着いて最初に彼が言った言葉がこれだった。
たしかに私が全部予約してしまった。
彼が「混浴ないの?」と聞いて来たのは覚えている。
でもそんな意見ほぼ聞いていなかった…。
「んー、仕方ない。じゃあ荷物置いてから、近く歩こうか」
「うん、そうしよう!」
「行きたいところは?」
「あのね、近くにある美術館があるんだけどね、すごく行きたいの!」
「へえー美術館か」
「嫌?」
「いや、そんなことないけどさ、行ったことないから」
スマホのアプリで位置情報を確認すると、徒歩10分程度で着いてしまうようだ。
さっそく2人で旅館を出た。
とっても綺麗な風景。
そういえば、彼は一眼レフのカメラを首から下げている。
「そんなカメラ持ってたんだ」
「うん。趣味で」
知らなかった。
彼が写真撮るの好きなんて、知らなかった。
そんな私を察したのか、彼は突然手を繋いで来た。
私は基本、外では手を繋ぎたくない派だ。
同じマンションの人に見られたら、エレベーターとかで会った時に気まずくなるかな…
と思って。
だけどここは違う。
たぶんそんなに知り合いはいないだろう。
「珍しい、Aが手を振りほどかない」
クスクスと嬉しそうに笑う彼。
「たまにはいいね」
「やった」
あまりにも幸せそうな笑顔に胸がきゅっとなった。
目的地に到着。
「「わぁーー」」
声を揃えてうえをみあげた。
その美術館は日本初の野外美術館としてかなり前にオープンしたらしい。
もっと古い感じなのかなと思っていたけれど、そんなことはなかった。
子どもも大人も楽しめるような空間である。
ステンドグラスの大きな塔をジョングクも私も口を開けたまま、ぽかんと見つめる。
彼は写真をたくさん撮った。
もちろん私も含め。
「Aそこに立って」
「えー、また私?」
「他に被写体がいないでしょ」
「グク撮ってあげるよ!」
「俺は嫌だ」
彼は前から写真を撮られることを嫌っている。
スマホで撮影するのもダメ。
すぐに顔を隠してしまう。
「今日くらい良いじゃん」
「だめ!写真撮られると魂抜かれるんだよ!」
「何言ってるの。私のことたくさん撮るくせに!」
「いいの!Aは!」
「なにそれ!」
平日のせいか人もあまりいない。
私も彼も、心置きなくその瞬間を楽しんだ。
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ソラン(プロフ) - shinov347さん» コメントありがとうございます!そんなこと言って頂けるなんて、嬉しいです(^^)続編頑張ります!これからもよろしくお願いします! (2018年8月30日 19時) (レス) id: 8103dd882b (このIDを非表示/違反報告)
shinov347(プロフ) - この作品!!本当にびっくりするほど面白くて、興奮しっぱなしでした。。。作者様天才ですほんとに。続き心から楽しみに待っています。このストーリー思い付いた作者様本当に神ってます。ほんとに。 (2018年8月30日 18時) (レス) id: 7f3f1e52e8 (このIDを非表示/違反報告)
ソラン(プロフ) - ちむちむさん» ありがとうございます!ちょっと展開急ぎすぎた感ありますが、最後までぜひ読んでください〜! (2018年8月30日 12時) (レス) id: 8103dd882b (このIDを非表示/違反報告)
ちむちむ - 今見ました!凄い展開ですね!楽しみです!頑張ってください! (2018年8月29日 23時) (レス) id: 44bb68e7e6 (このIDを非表示/違反報告)
ソラン(プロフ) - うゆ子さん» コメントありがとうございます!第1章、なんとか終わりそうです^ ^ぜひ最後まで見届けてください! (2018年8月29日 22時) (レス) id: 8103dd882b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ソラン | 作成日時:2018年8月21日 20時