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先輩は目を大きく見開いて私を見る。
「先輩は、りな先輩のものだから。
もう、この恋は叶わないから。だから、少しだけでいい。
先輩の彼女になりたいです。」
誠「……本気で言ってんの？」
「はい。」
先輩は少し考え込むと、ゆっくり立ち上がって。
誠「A。」
いつもと違う、少し低い声。
私より少し身長の高い先輩は私を見下ろして、そっと胸の中に収める。
少しだけ早くなる先輩の鼓動と温もりを感じて、それに答えるように背中へ手を回した。
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ゆっくり私を離して、私の目をじっと見つめる。
そんなに長い時間見つめていた訳じゃないのに、時間が長く感じて。
誠「目、閉じて。」
「嫌です。」
誠「ええから、目閉じろや。」
「いや……です……。」
誠「お前なぁ……」
このまま目を閉じてしまったら、終わりなんだ。
自分から望んだくせに悲しくなって、涙が止まらなくて。
誠「お前が言ったんやろ。思い出が欲しいって。」
「そうだけど……でも……この先をしてしまったら、もう終わってまう。
先輩との時間が……」
涙で視界が滲んで先輩の顔が歪んで、泣き顔を見られたくなくて俯いていると、顎先を親指と人差し指でクイッと上げられ、先輩に泣き顔が完全に見えてしまっている。
ゆっくりと先輩は私に微笑んで、
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誠「少しだけやけど、Aのこと好きやったで。」
夕陽が照らす体育館の真ん中、2人の影は悲しくも重なった。
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先輩の背中が見えなくなって。
手のひらに残った金色のボタンを、私はゴミ箱へ入れた。
さよなら、私の片思い。
S.Suezawa End
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彩美 - はじめまして、楽しく読ませて頂きました、全ての作品において上手く話が展開されていて発想が素晴らしいなと思いました、お身体を大事にお過ごしください (2020年12月10日 9時) (
レス) id: 61e8de1df7 (このIDを非表示/違反報告)
翔太担 - 手のひらに残った金色のボタンとは、誠也くんの第二ボタンですか? (2020年9月5日 2時) (レス) id: 068f257b0f (このIDを非表示/違反報告)
ワイパー(プロフ) - 修正ありがとうございます！これからの更新も楽しみにしています！ (2020年8月9日 19時) (レス) id: c96a99fffa (このIDを非表示/違反報告)
ゆら(プロフ) - ワイパーさん» ワイパー様 ご指摘ありがとうございます！修正させていただきます！ (2020年8月9日 12時) (レス) id: bf2f19821d (このIDを非表示/違反報告)
ワイパー(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。晶哉くんの漢字間違ってるので直して欲しいです(>_<) 昌ではなく、日が3つの晶のほうなので、訂正よろしくお願いします。 (2020年8月9日 10時) (レス) id: c96a99fffa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆら | 作成日時：2020年8月6日 0時
