【名探偵コナン】昔私は探偵兼教師でした。【三】

side萩原:面影。 ページ21

あぁ…あの子が生きてたら、こうやって説教を垂れるんだろうな。


Aちゃん…――


重なる、背中があった。


似ても似つかぬ姿の女性…彼女と同じ【探偵】の片桐シノちゃん。

最初は【ナタリーちゃんが航が知らない女性と歩いていた】だなんて聞いて松田と顔を見合わせたものだ。

…まぁ、ナタリーちゃんにぞっこんな伊達が浮気なんてしない事は分かっては居た。だが女性側が面倒な性格をしているんだったら…

そう思えば、俺も松田も行動は早かった。

――――

「誰この子？」


浮気を目撃した彼女の様な心境とはこれか？そんな事を思って居たのがバレたのか…彼女は最初に【伊達…お前、マジの浮気か？】と告げた陣平ちゃんと伊達を見比べて真逆…ッと小さく呟いては、冷静な答えを返してきた。


『刑事さん…【男性の恋人】がいらっしゃるならそう言ってくだされば宜しいのに。』

その一言に俺が撃沈してしまったのは仕方がないって思ったよね…？だってあの状況で【普通】そう捉える？

発想が斜め上で爆笑待ったナシだったよほんとに…まぁ、多少陣平ちゃんや伊達に睨まれたけどさ…(腹筋ツルかと思ったし。)

で、事情を聞けば【ストーカー被害】に遭っており…【実害】がない為【警察が動けない事】とも知っていたらしい。

『自分でどうにかすると言ったんですが。』

なんて、表情を変えずに告げる彼女に此方はなんの冗談かと思った…正直。

でも冗談なんて言ってなくて…

何処か上の空というか【心底どうでも良さそうにしている彼女】の様子に思わず…――


「聞いてる？片桐ちゃん…？」


問いかけた俺に、彼女はえ…と多少驚いては少し考え事を…と続けたのだ。

「アンタの事を話してんだぞ？」

流石の陣平ちゃんもこれにはカチンときたらしく、少し苛立ちを込めて告げた。


でも彼女、シノちゃんはまるで…Aちゃんの様に冷静で、確かに一般人とは少し違う雰囲気を持っていた。

『時間がありませんので、気になるのでしたら付いてきてください。』

スッと、彼女はまるで手練の様な動きで俺達より先に店を飛び出したんだ…後を追うように陣平ちゃん、喫茶店のお代を払った俺、最後に伊達と彼女を見失わない様に追ったんだ。


やっと追いついた！


そう思って角が行き止まりだと知っていた俺達の目に飛び込んできたのは…淡々と犯行だの、暴漢未遂といった言葉と…女性を庇うシノちゃんの姿があった。



状況を見て、解らない程俺達は馬鹿じゃねぇんだ。

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