［怪盗キッド］海の上で、この世で一番のマジックをあなたに。 (ページ22)

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20話ページ22

握ってくれたその手を見て、私の心臓はまた止まりそうだった。

短い小指、私が大好きな爪の形。

例え、顔が帽子とモノクルで見えなくても…。

…
……

ハァ、ハァ…。
快斗ぉ、っ、快、斗ぉぉ。

11年前の出来事が、私の脳裏にフラッシュバックした。
震えが止まらない私の手を、必死に包んでくれる、小さい、でも力強い手。

考えるだけで怖くなる、あの言葉。

A secret makes a woman woman…

あの温もりを、忘れたくない。

そして、そしてーー

今目の前にいるのはーー

紛れもない、彼だった。

・

・

A「快斗？ねぇ、快斗？」

キッド「！！！…。」

A「やっぱり、快斗。」

キッドは、困惑したような顔をしてた。
そりゃ、11年間も経ってたら、
顔だって変わってるし、
名前も変えて、
覚えてるわけないか…。

秀兄に無理をいって、下の名前は変えていない。
気づいてもらえるようにだ。

でも、だめだったかな
どうしたら…？
私、なんでこんなに悲しいのかな…？

…

流れる涙を止めようと、怪我していない手でぎこちなくポケットに手を突っ込んで、、、

見つけた。
私が私である証拠。

A「あ、ぁ、あの時のハンカチ。返しそびれちゃって…」

キッド「これは…！」

A「お洗濯したけど、落ちきれなくてっ…その、お父さんの大事なハンカチって言ってたから…ぁ。
ごめ……」

A「ぁっ///」

もう、その時は、私はキッドの腕の中だった。

キッド「…A。なんで、いなくなっちまったんだよ」

ーーーよかった。
ーーー快斗の声。

自分の心臓がバクバクなるのがわかるけど、
目の前の白い怪盗が静かに流す涙が見えるほど、近くにいるのが嬉しかった。