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失礼だな、この人。恐らくその日の彼女に対する印象は、それだった。客を応対する態度もあまり良いとは言えなければ、こうして失礼なことをなんの躊躇いも無く言ってくる。
正直言って、選ぶ探偵事務所間違えたかな、とか考えた程だ。
だが契約書にサインをしてしまった今、やっぱやめますは流石に此方が失礼すぎる。こんな言い方はあれだが、彼女と同じ土俵には決して上がりたくないと思った。
「―――さて、じゃあ当分は私が君の行き帰りに付き合うということで良いね？」
「はい、よろしくお願いします」
先程話し合って決まった事項をもう一度口にする彼女に軽く頭を下げると、彼女は堅苦しいことが苦手なのか、その様子に分かりやすく顔をしかめた。げっ、とでも言いたげに。
とは言うものの、俺達は仮にも初対面だ。初対面で彼女ほどフランクに接するのは、自分の依頼を請け負ってくれた相手には、流石に出来ない。時間が経てば考えてみよう。
黒いリュックに適当に荷物を投げ込んだ彼女と共に、モダンな探偵事務所を出る。珈琲の香りと煙草の香りが強くしていた店内から出ると、まるで時空が歪んだような気さえした。昭和から平成に来たみたいだ。
「……一週間、お休みされるんですか？」
外の空気を肺に送り、隣でマーカーペンを走らせる彼女に言葉を投げ掛ける。彼女の持っている紙には、一週間ほどお休みを頂く、という様な内容が連ねられていた。行き帰りだけ共に行動するだけなのだから、一週間休みにする必要は無い気がするのだが。彼女には彼女なりの考えがあるのだろうか。
「あぁ、ストーカーとかの依頼の場合、ここには帰らない。一週間はホテルかな」
「それは、何故ですか？」
「尾行される可能性があるからね。ここは自宅兼事務所だから、探偵事務所だとバレれば過激なストーカーだった場合、しーたくの身が危ない。一応素人の尾行なら簡単に掻い潜れるけども、万が一の為にだよ」
あ、因みにホテル代はお代に入れとくから。そう言って先を行き始める彼女の背中を、慌てて追いかける。ちゃっかりしてんな、この人。まぁでも俺の身を案じた結果の代金だから、俺が支払うのは当然か。
「あ、私ナポリタンで」
いややっぱこの人ちゃっかりしてるわ。
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白菜(プロフ) - 河良紅好さん» ご報告ありがとうございます！助かりました！早急に修正させて頂きます！ (2020年6月16日 22時) (
レス) id: a14ef8aee6 (このIDを非表示/違反報告)
河良紅好(プロフ) - はじめまして、陰ながら白菜さんの作品を楽しく拝見させて頂いてます。大変失礼ですが、事件No.5の2ページ目の｢マーキング｣が｢マーケティング｣になっていました事をご報告させて頂きます。 (2020年6月16日 21時) (レス) id: a18b40da37 (このIDを非表示/違反報告)
るーと - この作品を読むのが最近の密かな楽しみになっています。ご無理をなさらない程度に更新頑張ってください！これからも楽しみにしてます！ (2020年6月12日 21時) (レス) id: 300feac1d8 (このIDを非表示/違反報告)
餅兎(プロフ) - 遅ればせながら新作ありがとうございます…！ Twitterで設定をお見かけして以来ずっと心待ちにしておりまして、余りのことに学校滅ばねえかなとまで考えておりました。早速背筋の凍るような展開にゾクゾクしております、更新頑張って下さい。 (2020年6月11日 20時) (レス) id: 10f5dc34bc (このIDを非表示/違反報告)
神木(プロフ) - 占ツクを開くたびに更新されてないかなーって確認するくらい更新とても楽しみに待っています！更新頑張ってください！ (2020年6月11日 16時) (レス) id: ded004bcdf (このIDを非表示/違反報告)
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