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そういう仕事とは言え、自分を助けてくれた相手。お金を払ってはいさよならは如何なものか、と考えた伊沢は、契約が解消したその後も神津を食事に誘い、何度か顔を合わせる内に、思いの外彼女と仲が深まった。
仕事の都合上ここ最近は会う頻度もかなり減っていたが、連絡は取り合っていた。結局その後も縁が切れることは無く、今に至るわけである。
「で、今日はなんの用かな、伊沢拓司君」
神津は仕事の話となると、依頼人をフルネームに君をつけて呼ぶ癖がある。年齢、性別関係なく、君。このことに関して彼女は、性別とかで敬称変えるとか逆に失礼じゃん、と述べている。
「まだ依頼とは言っていないのに依頼と決めつけるのはどうなんですかね、探偵さん？」
「おっと、先読みは嫌いかね？」
「いいえ、話が早くて助かります」
伊沢が依頼の件で自分を呼び出した、ということには薄々感づいていた。
まず、自分を呼び出したメール。いつにも増して句点の多かったその文から、神津はかなり悩まれたものだと推測した。いつにも増して、とは言うものの、その差は一点、二点の差である。
次に、彼がいつも以上に珈琲をクルクルと掻き回していた。基本机の上で腕を組み、相手の話に集中する彼にしては珍しいことであった。
同じ理由でもう一つ。いつも以上に、辺りを気にしていた。まるでなにかの視線を探しているかの様。
以上の三点に加え、ちょっとした変化が数ヵ所。その情報と、彼の現在就いている職業を元に、神津は一先ず大きな仮説を立てた。彼はストーカー、またはなにかしらの嫌がらせを受けている、という仮説。そしてそれを自分に相談すべく、呼び出した。
つまりは、依頼である。
そして彼は今、自らを依頼の為に呼び出したと認めた。
「実は、最近誰かにつけられている気がしてるんですよね」
神津の中で立てた大きな仮説が、真実となった瞬間であった。神津は静かに足を組み直し、伊沢の話に耳を傾ける。神津自身、顔には出していないが、確かにそれらしい視線と気配は感じている。しかも、丁度―――自分の、後ろから。
伊沢の話をしっかりと耳で捉えつつ、さりげなく後ろに視線を向ける。視界が辛うじて捉えたのは、長髪の後頭部だった。華奢な背中から察するに、女性か。
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白菜(プロフ) - 河良紅好さん» ご報告ありがとうございます！助かりました！早急に修正させて頂きます！ (2020年6月16日 22時) (
レス) id: a14ef8aee6 (このIDを非表示/違反報告)
河良紅好(プロフ) - はじめまして、陰ながら白菜さんの作品を楽しく拝見させて頂いてます。大変失礼ですが、事件No.5の2ページ目の｢マーキング｣が｢マーケティング｣になっていました事をご報告させて頂きます。 (2020年6月16日 21時) (レス) id: a18b40da37 (このIDを非表示/違反報告)
るーと - この作品を読むのが最近の密かな楽しみになっています。ご無理をなさらない程度に更新頑張ってください！これからも楽しみにしてます！ (2020年6月12日 21時) (レス) id: 300feac1d8 (このIDを非表示/違反報告)
餅兎(プロフ) - 遅ればせながら新作ありがとうございます…！ Twitterで設定をお見かけして以来ずっと心待ちにしておりまして、余りのことに学校滅ばねえかなとまで考えておりました。早速背筋の凍るような展開にゾクゾクしております、更新頑張って下さい。 (2020年6月11日 20時) (レス) id: 10f5dc34bc (このIDを非表示/違反報告)
神木(プロフ) - 占ツクを開くたびに更新されてないかなーって確認するくらい更新とても楽しみに待っています！更新頑張ってください！ (2020年6月11日 16時) (レス) id: ded004bcdf (このIDを非表示/違反報告)
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