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「そう。そしてその犯人は、私の中の仮説では、女だ」

「犯人もそう言っていたらしいですしね。ということは神津さんは、こうちゃんの事件の犯人が、真犯人だと疑っているんですか?」

「いや、あいつは違う。あれは渡辺航平ただ一人に向けられたものだ。また犯人は別に居る。一人だけ心当たりもあるしな」



 お前も巻き込まれないように気を付けろよ。そう言って微笑んだ彼女の表情は、いつも以上に、穏やかだった。



「―――さてと、では事件が起こった場所を一通り回ってみるとするかー」

「だから何故その相手が僕なんですか」

「だってそこに突っ立ってたんだもーん」

「突っ立ってないです。靴を履いていたんですよ。さっさと帰るために」



 あの事件を纏めた日以来、彼女との距離感がなんだか少し近くなった。それ自体は別に問題は無いのだが、前回といい、今回といい、人が家に帰ろうとしているところを捕まえるのはいかがなものかと思う。

 今日も僕には拒否権が無いようで、バシバシと僕の肩を叩きながら隣を歩く彼女に呆れた溜め息を吐き、大人しく彼女に着いていくことにした。それが一番早く自宅に帰ることが出来る方法だと思った。それ以外に方法があるなら是非とも提示していただきたい。



「で、まずどこに向かうんですか」

「まずはねー、ぴー君の事件があった歩道橋かな」



 てか乗り気じゃんやーたく、なんてほざく彼女を思いっきり背負い投げでもしてやろうかとも思ったが、体力の消耗が激しそうなのでやめた。僕は仕事で疲れているのだ。さっさと用事すませて、さっさと帰って寝たい。

 この辺り一帯の地図を広げて歩く彼女の横顔を見つめながら歩いていれば、早速お目当ての歩道橋付近に近づいてきた。
 階段下まで来ると、その周辺のコンクリートには赤いシミが残っている。一応掃除はしたらしいが、案外残るもんなんだな。



「お、私の血じゃーん。いやー、この土地に私の痕跡を残しちまったね。これ後世に受け継がれてくよ」

「世界一要らない痕跡ですけどね」

「辛辣だねぇ」



 きゅぽっと音を立てて赤ペンの蓋を外して口に咥えると、彼女はこの歩道橋がある場所に赤丸をつけた。






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白菜(プロフ) - 河良紅好さん» ご報告ありがとうございます!助かりました!早急に修正させて頂きます! (2020年6月16日 22時) (レス) id: a14ef8aee6 (このIDを非表示/違反報告)
河良紅好(プロフ) - はじめまして、陰ながら白菜さんの作品を楽しく拝見させて頂いてます。大変失礼ですが、事件No.5の2ページ目の「マーキング」が「マーケティング」になっていました事をご報告させて頂きます。 (2020年6月16日 21時) (レス) id: a18b40da37 (このIDを非表示/違反報告)
るーと - この作品を読むのが最近の密かな楽しみになっています。ご無理をなさらない程度に更新頑張ってください!これからも楽しみにしてます! (2020年6月12日 21時) (レス) id: 300feac1d8 (このIDを非表示/違反報告)
餅兎(プロフ) - 遅ればせながら新作ありがとうございます…! Twitterで設定をお見かけして以来ずっと心待ちにしておりまして、余りのことに学校滅ばねえかなとまで考えておりました。早速背筋の凍るような展開にゾクゾクしております、更新頑張って下さい。 (2020年6月11日 20時) (レス) id: 10f5dc34bc (このIDを非表示/違反報告)
神木(プロフ) - 占ツクを開くたびに更新されてないかなーって確認するくらい更新とても楽しみに待っています!更新頑張ってください! (2020年6月11日 16時) (レス) id: ded004bcdf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白菜 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年6月9日 19時

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