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「彼はなんだろ、ぴー君歩道橋事件とでも名付けておくか」
「ネーミングセンス……」
「私にネーミングセンスを求めるのは諦めろ」
ぴー君歩道橋事件と書き込まれたそれは、オフィス内でもかなり話題となった。それもその筈。福良自身は後頭部の強打で済んだが、今目の前に居る彼女は階段から転げ落ち、右腕の骨折と頭を三針縫う怪我をしたのだから。
ギプスこそ外れたが、今でも彼女の腕には、湿布と包帯が巻かれている。
あいつの事件が、徐々に纏められていく。始まりは駅のホーム。そして次が歩道橋。
歩道橋で背中を押されたというのは、前に聞いていた。あの捻挫をしたことがないと言っていた福良が捻挫をして、しかもその原因を頑なに言わないから、伊沢と僕で問い詰めて聞き出したんだ。
正直その時点で警察に電話しておけば良かったのだが、福良自身が「たまたま当たっただけかもしれない」なんて言うから、結局その場ではなんの対応もしなかった。
そして、事件は福良の代わりに彼女が突き落とされたことによって、終わりを迎えた。丁度その様子を目撃していた警察が男を拘束してくれたらしい。
「確かその男、福良と同じ中学だったんですよね?」
「お、よく知ってるねぇ。そう。単なる怨恨、妬みかとも思ったが、そう単純なものでも無いようだ」
「……と、言うと?」
「んー、なら君は、身内がこんなにも立て続けになにかしらの事件に巻き込まれている件について、どう考える?」
率直な感想を述べるとするならば、なにかしらの繋がりがあるのでは、だ。
だが今までの犯人達に共通点は無いし、性別も違う。ただ偶然時期が被っただけで、別になんの関連性も無いのでは、とも思う。
「……よく分かりません。繋がっているようにも見えるし、ただの偶然のようにも思う」
「そこまで出ているなら上出来だ。これは恐らく、全て繋がっている」
恐らく、なんて副詞を置いておいて、その口調には絶対的な自信が感じ取れた。もう既に彼女の脳内では、この異なる三つの事件が、繋がり始めているのだろう。
「ぴー君の事件で男は、何者かに指示されたと言っていた。拓朗君の事件では、その相手は女だと言っていた。この二人は多分、彼らに対して抱いていた個人的な妬みや嫉妬を煽られ、そして結果、手の内で操られていたのだろう」
「……この事件の根底には、別の真犯人が居ると?」
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白菜(プロフ) - 河良紅好さん» ご報告ありがとうございます!助かりました!早急に修正させて頂きます! (2020年6月16日 22時) (レス) id: a14ef8aee6 (このIDを非表示/違反報告)
河良紅好(プロフ) - はじめまして、陰ながら白菜さんの作品を楽しく拝見させて頂いてます。大変失礼ですが、事件No.5の2ページ目の「マーキング」が「マーケティング」になっていました事をご報告させて頂きます。 (2020年6月16日 21時) (レス) id: a18b40da37 (このIDを非表示/違反報告)
るーと - この作品を読むのが最近の密かな楽しみになっています。ご無理をなさらない程度に更新頑張ってください!これからも楽しみにしてます! (2020年6月12日 21時) (レス) id: 300feac1d8 (このIDを非表示/違反報告)
餅兎(プロフ) - 遅ればせながら新作ありがとうございます…! Twitterで設定をお見かけして以来ずっと心待ちにしておりまして、余りのことに学校滅ばねえかなとまで考えておりました。早速背筋の凍るような展開にゾクゾクしております、更新頑張って下さい。 (2020年6月11日 20時) (レス) id: 10f5dc34bc (このIDを非表示/違反報告)
神木(プロフ) - 占ツクを開くたびに更新されてないかなーって確認するくらい更新とても楽しみに待っています!更新頑張ってください! (2020年6月11日 16時) (レス) id: ded004bcdf (このIDを非表示/違反報告)
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