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 そうなのだ。あの歩道橋は、普段は絶対に使わない。それをピタリと当ててきたという事は、何かしらでその情報が相手に渡ったと考えるのが妥当だろう。盗聴器か。もしくは、疑いたくはないが、身内の誰かによってか。



「よし、なら後で契約書渡すから、そこにサイン頼むね。喫煙についてとか、大したこと書いてないから。一先ず今は仮契約だ。よろしく、ぴー君。君のことは私が必ず守るよ」

「……頼もしいですね」



 女性に、自らを必ず守ると言われるのはなんだか情けない気もしたが、彼女が言うとそんな考えも直ぐに吹き飛んだ。彼女の声音からは、口だけではない、自分を必ず守るという強い意思が感じられたから。























「……」



 彼女に依頼をして、早くも数日が経過した。
 オフィスと自宅の行き帰り、近場への買い物だけだった俺はその日、久々に少し離れた場所に向かうことになった。以前と同じく、打ち合わせの為である。


 最近は、ちょっとした外出でも辺りを気にするようになった。そりゃそうだろう。駅のホームでの出来事も、歩道橋での出来事も、どちらも最悪命に関わっていたんだ。
 もしまた背中を押された時、前の二回の様に俺は、死なずに居られるだろうか。今度こそ、殺されないだろうか。様々な不安が、脳裏をちらつく。



≪はーいぴー君、もっと自然に行こうねー?≫

「……いや無理ですって」

≪はい喋らなーい。君の鞄には恐らく盗聴器が仕掛けられている。死にたくなければ、大人しくインカムでの指示を待ってねー?出来るかなー?あ、もしかしてぴー君にはまだ難しかったかなー?≫

「……」



 こっちがなにも言えないことを良いことに、完全に俺を子供扱いしている、この人。やっぱり性格が悪い。
 ため息を吐きながらオフィスで言われた通りインカムを二回トントンと叩くと、幸せ逃げるぞー、なんて要らぬ助言をもらった。貴女のせいですよ、なんて言ってもどうせ喋るなとか言われるのだろう。大人しく従うのが身のためか。






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白菜(プロフ) - 河良紅好さん» ご報告ありがとうございます!助かりました!早急に修正させて頂きます! (2020年6月16日 22時) (レス) id: a14ef8aee6 (このIDを非表示/違反報告)
河良紅好(プロフ) - はじめまして、陰ながら白菜さんの作品を楽しく拝見させて頂いてます。大変失礼ですが、事件No.5の2ページ目の「マーキング」が「マーケティング」になっていました事をご報告させて頂きます。 (2020年6月16日 21時) (レス) id: a18b40da37 (このIDを非表示/違反報告)
るーと - この作品を読むのが最近の密かな楽しみになっています。ご無理をなさらない程度に更新頑張ってください!これからも楽しみにしてます! (2020年6月12日 21時) (レス) id: 300feac1d8 (このIDを非表示/違反報告)
餅兎(プロフ) - 遅ればせながら新作ありがとうございます…! Twitterで設定をお見かけして以来ずっと心待ちにしておりまして、余りのことに学校滅ばねえかなとまで考えておりました。早速背筋の凍るような展開にゾクゾクしております、更新頑張って下さい。 (2020年6月11日 20時) (レス) id: 10f5dc34bc (このIDを非表示/違反報告)
神木(プロフ) - 占ツクを開くたびに更新されてないかなーって確認するくらい更新とても楽しみに待っています!更新頑張ってください! (2020年6月11日 16時) (レス) id: ded004bcdf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白菜 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年6月9日 19時

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