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事件No.4 ページ28








 ―――昔から、誰かしらに恨まれることが多々あった。



 ずっと笑顔なのがムカつく。心の中では絶対周りを嘲っている。周りを見下している。
 常日頃から笑顔でいることを心掛けているだけで、よく影でそんなことを言われた。

 とは言っても、いじめとかそういうのは全く無く、寧ろ友達は多い方であったためか、特段目立った様なことはされなかった。当時の俺も、人には相性の良し悪しがあると割り切っていたし、当時は部活や勉強に忙しく、そんなことを気にする余裕もなかった。


 そしてそのまま、俺は大人になった。



「おっ、ぴー君早いねぇ。流石プロデューサー」

「神津さんこそ、起きるの早いですね」

「寝込み襲われたらたまったもんじゃないからね。まぁなべ君はまだ爆睡中だが」



 朝早くにオフィスに出勤すると、太陽がまだ出ていないため薄暗いにも関わらず、電気もつけずにベランダで煙と戯れている彼女が居た。
 ヘラヘラした様子で短くなった煙草を携帯灰皿に押し込み、早くも二本目を取り出し火をつけた彼女の隣に、何となく向かう。

 途中のソファーに荷物を投げ、ベランダに出る。手摺を掴んで下を覗き込めば、疎らではあるが、数人の人が行き交ってた。



「……神津さん、は、どう思いますか」



 ずっと、笑顔で居ることを。



「良いんじゃないと思うね」

「え?」

「ん?」



 主語もなにも無い問いだったにも関わらず、彼女はあっけらかんとした様子でそう言った。
 風に拐われたら、彼女が首でも傾げたら、流すつもりだった問い。だからなんの脈絡もなく、どう思うという問いを投げ掛けたのに、彼女は直ぐ様アンサーを返してくれた。



「流すつもりだったのかい?生憎私は探偵なんでね。君が何に悩んでて、何を問おうとしてるかくらいの推理は出来るさ」



 ふーっと紫煙を空に吐き出し、どこかをぼんやりと眺めている彼女の横顔を見つめる。俺が何に悩んでいるのかも、この人には、知られている。その事実が、不思議で堪らなかった。






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白菜(プロフ) - 河良紅好さん» ご報告ありがとうございます!助かりました!早急に修正させて頂きます! (2020年6月16日 22時) (レス) id: a14ef8aee6 (このIDを非表示/違反報告)
河良紅好(プロフ) - はじめまして、陰ながら白菜さんの作品を楽しく拝見させて頂いてます。大変失礼ですが、事件No.5の2ページ目の「マーキング」が「マーケティング」になっていました事をご報告させて頂きます。 (2020年6月16日 21時) (レス) id: a18b40da37 (このIDを非表示/違反報告)
るーと - この作品を読むのが最近の密かな楽しみになっています。ご無理をなさらない程度に更新頑張ってください!これからも楽しみにしてます! (2020年6月12日 21時) (レス) id: 300feac1d8 (このIDを非表示/違反報告)
餅兎(プロフ) - 遅ればせながら新作ありがとうございます…! Twitterで設定をお見かけして以来ずっと心待ちにしておりまして、余りのことに学校滅ばねえかなとまで考えておりました。早速背筋の凍るような展開にゾクゾクしております、更新頑張って下さい。 (2020年6月11日 20時) (レス) id: 10f5dc34bc (このIDを非表示/違反報告)
神木(プロフ) - 占ツクを開くたびに更新されてないかなーって確認するくらい更新とても楽しみに待っています!更新頑張ってください! (2020年6月11日 16時) (レス) id: ded004bcdf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白菜 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年6月9日 19時

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