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 俺は彼女のことがあまり得意ではない。ずっとヘラヘラしているところとか、うざ絡みしてくるところとか、何考えているのかよく分からないところとか。あげればキリが無いが、兎に角、俺は極力彼女とは関わり合いになりたくないのである。



「君は随分と働き者だねぇ。以前からそんなにも根詰めて仕事をしていたのかい?」



 特に、そのなんでも見透かしているような声音が、苦手で、嫌いだった。

 正面のデスクに腰掛けて頬杖をついている彼女を一瞥もせず「どうでも良いでしょう。さっさと寝たらどうですか」と返すも、彼女は一切表情を崩すことなく、それをのらりくらりとかわした。

 まるで面白いものでも見ているような視線が嫌で、その視線から逃れるように纏めた書類を伊沢さんのデスクに置いておく。締め切りまでは、まだ一週間もあった。



「それとも、仕事に逃げているのかい?」



 逃げている。その単語にイラッとして、つい彼女の方を見てしまった。睨み付けるような視線を送ったにも関わらず、彼女は「やっと見てくれたね」と言って右手をヒラヒラと振る。

 嫌いだ。その、余裕ぶっている態度が。自分とは違って、余裕がある彼女が、嫌いだ。


 叩きつけるようにして、パソコンを閉じる。灯りがまた一つ減り、より暗くなった部屋で、彼女が笑みを湛えてることだけは確認できる。自分のことはなにも分からないのに。今の彼女の感情だけは分かる。

 この状況を、面白がっている。



「……君はなにに悩んでいるんだ?」



 まるでそれは、俺がなにかに悩んでいることは確定事項であるような言い方だった。この人は、どこまでを知っていて、どこまで先を見据えているんだ。


 今日だけじゃない。今までも、伝えていない筈のことなのに、全て彼女には筒抜けだった。どんなに隠していても、いつの間にか彼女にはバレている。それはまるで自分に隠し事など100年早いと、見せつけられているようだった。

 今もそうだ。彼女には全て見抜かれている。俺が今ここで言おうが言わまいが、彼女には関係ない。どうせ、数日後には、全てバレているんだ。







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白菜(プロフ) - 河良紅好さん» ご報告ありがとうございます!助かりました!早急に修正させて頂きます! (2020年6月16日 22時) (レス) id: a14ef8aee6 (このIDを非表示/違反報告)
河良紅好(プロフ) - はじめまして、陰ながら白菜さんの作品を楽しく拝見させて頂いてます。大変失礼ですが、事件No.5の2ページ目の「マーキング」が「マーケティング」になっていました事をご報告させて頂きます。 (2020年6月16日 21時) (レス) id: a18b40da37 (このIDを非表示/違反報告)
るーと - この作品を読むのが最近の密かな楽しみになっています。ご無理をなさらない程度に更新頑張ってください!これからも楽しみにしてます! (2020年6月12日 21時) (レス) id: 300feac1d8 (このIDを非表示/違反報告)
餅兎(プロフ) - 遅ればせながら新作ありがとうございます…! Twitterで設定をお見かけして以来ずっと心待ちにしておりまして、余りのことに学校滅ばねえかなとまで考えておりました。早速背筋の凍るような展開にゾクゾクしております、更新頑張って下さい。 (2020年6月11日 20時) (レス) id: 10f5dc34bc (このIDを非表示/違反報告)
神木(プロフ) - 占ツクを開くたびに更新されてないかなーって確認するくらい更新とても楽しみに待っています!更新頑張ってください! (2020年6月11日 16時) (レス) id: ded004bcdf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白菜 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年6月9日 19時

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