【Q|K】会社専属探偵【all】

事件No.3 ページ21

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「―――……また、か」



　今日も届いた負の知らせに、俺は顔をしかめた。またもや俺の友人が通り魔に切りつけられたという。
　電話口で入院しているという友人は「まぁ軽傷だからそんな気にすんなって」と明るく話していたが、本当はかなりの恐怖を感じたことだろう。
　別に自分が原因というわけではないのに、俺の心には僅かな罪悪感が芽生えていた。


　終わった電話にスマホの電源ボタンを押して画面を暗くし、デスクに雑に置く。はぁっと思わず溢れたため息は、最近相次いでいる良くない知らせに精神的にも参り始めていることを表していた。



「はぁ、また無くしたん？流石に無くしすぎじゃない？」

「すみません……」



　その影響か、最近はよく仕事を無くすこうちゃんにその苛立ちを向けてしまっていた。

　彼が無くした仕事は他でも補えるものばかりで特段気にする物では無かったし、何より彼自身もそんな自分に自己嫌悪している様子だったので、俺まで分かりやすく苛立ちを露にするのはどうかとも思ったが、彼を前にするとつい口調が刺々しくなってしまう。

　そんな俺の様子に周りも気づいているらしく、さっきも河村さんに「少し休みなよ」と心配されてしまった。どうやら周りには疲れによるものだと思われているらしい。強ち間違いでもないが。


　全てに苛立ってしまう自分に自己嫌悪してしまい、最近はあまり周りとの対話を図らなくなった。一応仕事に関しての話はするが、それ以外は話しかけられないように、意味もなくパソコン画面を見つめ続けた。



「そんなに難しい顔してると皺になるぜたくろーくんよー」

「うるさいです」

「つれないねぇ」



　この女性には、全くというほど効果無しだが。


　ここに泊まる人以外は全員帰っていった深夜のオフィス。睡眠の邪魔にならないよう、電気を消してスタンドの明かりだけを頼りに仕事をしていると、深夜なのにピンピンしている彼女に絡まれた。神津Aだ。







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