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「でも」

「でも?」

「この、写真に撮ったものは無くならないんです。代わりに、別の所の物が無くなって」



 この写真を撮ったときは、小さい頃に愛用していた仮面ライダーのフィギュアが無くなっていた。それはそれはショックだったし、思い出深いものだったから、そんな大事な物すら無くしてしまう自分の管理能力の無さも憎くもなった。

 そんな物の紛失が続き、今日もいつもと同じく物が無くなった。もうこれで数回目だし、その度に提出期限を先延ばしにしてもらって、そろそろ愛想を尽かされる頃だろうと、自業自得なのに怖くなっている。



「ふーん。よし、では君の依頼を受けようじゃないか。後で契約書を書いてもらうとして、取り敢えず仮契約だ。よろしく頼むよ、なべ君。君の命は私が全身全霊をかけて守ると約束する」

「命って、大袈裟ですよ。ただ物が無くなっているだけですし」



 俺の命を守る、なんて言う彼女にケラケラと笑うと、彼女は妙に神妙な顔を浮かべ、息を吐くように言葉を紡いだ。



「そうなら良いんだけどね」



 彼女のその言葉に「そうですよー」なんて返した俺はきっと、彼女の言葉の意味を、全くというほど理解していなかった。
























「ほう、ここが君の住んでいるマンション。セキュリティーは思いの外厳重なようだね」

「まぁこんな職業ですからね。念には念をと思って、ちょっと家賃高めの所を選んだんです」



 背後で辺りを物色している彼女の気配を感じながら、ポチポチと暗証番号を打ち込む。するとずっと固く閉ざされていた自動ドアが開き、エアコンの冷気と共に俺達を迎え入れた。


 彼女に物の紛失が相次ぐことを伝えてから、一週間。その間も何度か物がなくなり、川上さんにもとうとう叱られ、その度に神津さんに庇ってもらうを繰り返していたのだが、今日初めて彼女と共に俺の自宅を訪れることとなった。

 エントランスを見渡しながら俺の後ろをゆっくり着いてくる彼女を時折振り返りつつ、エレベーターに乗り込む。自分の部屋のある階を押すと、背後で「案外高層に住んでいるんだな」と神津さんが呟く声が聞こえた。






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白菜(プロフ) - 河良紅好さん» ご報告ありがとうございます!助かりました!早急に修正させて頂きます! (2020年6月16日 22時) (レス) id: a14ef8aee6 (このIDを非表示/違反報告)
河良紅好(プロフ) - はじめまして、陰ながら白菜さんの作品を楽しく拝見させて頂いてます。大変失礼ですが、事件No.5の2ページ目の「マーキング」が「マーケティング」になっていました事をご報告させて頂きます。 (2020年6月16日 21時) (レス) id: a18b40da37 (このIDを非表示/違反報告)
るーと - この作品を読むのが最近の密かな楽しみになっています。ご無理をなさらない程度に更新頑張ってください!これからも楽しみにしてます! (2020年6月12日 21時) (レス) id: 300feac1d8 (このIDを非表示/違反報告)
餅兎(プロフ) - 遅ればせながら新作ありがとうございます…! Twitterで設定をお見かけして以来ずっと心待ちにしておりまして、余りのことに学校滅ばねえかなとまで考えておりました。早速背筋の凍るような展開にゾクゾクしております、更新頑張って下さい。 (2020年6月11日 20時) (レス) id: 10f5dc34bc (このIDを非表示/違反報告)
神木(プロフ) - 占ツクを開くたびに更新されてないかなーって確認するくらい更新とても楽しみに待っています!更新頑張ってください! (2020年6月11日 16時) (レス) id: ded004bcdf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白菜 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年6月9日 19時

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