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「じゃ、私はここで」
「はい、今日もありがとうございました」
当初の予定であった、一週間が経過した。この一週間、欠かさず彼女と行き帰りを共にしたが、ストーカーはなにかを俺にしてくる気配はない。
唯一変化した点として、手紙が投函される頻度が上がった。内容は当たり障りの無い内容から、告白する文章。今日も例外無く、一階に設置されたポストには手紙が入れられており、その場で中身を確認する。
内容は、なにも書かれていなかった。疑問に思って裏返したりしてみるが、なにも書かれていない。どういうことだ?
≪はいはーい、なんだいさっきぶりのしーたく。君が電話なんて珍しいね≫
「すみません神津さん、こんな時間に」
≪もしや手紙になにか変化があったかな?≫
「え?」
何故この人が、それを知っているんだ。
ストーカーの件は確かに彼女に伝えたが、手紙の件は一切口にしていない筈。手紙を彼女の前で取り出したことも無いし、内容を口にしたこともない。なのに、何故。
≪お、驚いてるねー。なら種明かししてあげよう。君が私の探偵事務所に来たとき、君はよく鞄の方に視線を送っていたんだよ。その時点で、私の中で大きな仮説が立った。君がストーカーをされ、手紙やらなにかしらを、送りつけられている説≫
たったそれだけの情報で、そんなにも的確な仮説が立つのか。
確かにあの時は、昨日確認し忘れていたポストを、探偵事務所に行く前に確認したのだ。そこに例の手紙も入っており、内容は見ずに探偵事務所を訪れたからか、気になって鞄をしきりに見てしまったのかもしれない。あくまで、しれない。
俺自身、そんなにも分かりやすく鞄を確認していた記憶はない。視界の端に入り込めば、確認する。その程度だった筈。
≪後は私が帰ったあとにポスト確認して、君が顔をしかめているのを見たから、そうかなと思っただけだよ≫
「え、居たんですか」
≪そんな直ぐに帰るわけがないだろう。私が帰れるのは、きちんと君が家に入るまでを見届けてからだ≫
普段はあんなにも不真面目そうで、カフェとかで情報共有してるとちゃっかり昼飯注文して、しかも人に奢らせて、暇になれば直ぐに煙草を吸い始めて、帰り道に酒買って飲みながら帰るような、自分勝手で自由な人なのに。
根は真面目な人なんだろうな、と、俺はなんの根拠もなく、そう思った。
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白菜(プロフ) - 河良紅好さん» ご報告ありがとうございます!助かりました!早急に修正させて頂きます! (2020年6月16日 22時) (レス) id: a14ef8aee6 (このIDを非表示/違反報告)
河良紅好(プロフ) - はじめまして、陰ながら白菜さんの作品を楽しく拝見させて頂いてます。大変失礼ですが、事件No.5の2ページ目の「マーキング」が「マーケティング」になっていました事をご報告させて頂きます。 (2020年6月16日 21時) (レス) id: a18b40da37 (このIDを非表示/違反報告)
るーと - この作品を読むのが最近の密かな楽しみになっています。ご無理をなさらない程度に更新頑張ってください!これからも楽しみにしてます! (2020年6月12日 21時) (レス) id: 300feac1d8 (このIDを非表示/違反報告)
餅兎(プロフ) - 遅ればせながら新作ありがとうございます…! Twitterで設定をお見かけして以来ずっと心待ちにしておりまして、余りのことに学校滅ばねえかなとまで考えておりました。早速背筋の凍るような展開にゾクゾクしております、更新頑張って下さい。 (2020年6月11日 20時) (レス) id: 10f5dc34bc (このIDを非表示/違反報告)
神木(プロフ) - 占ツクを開くたびに更新されてないかなーって確認するくらい更新とても楽しみに待っています!更新頑張ってください! (2020年6月11日 16時) (レス) id: ded004bcdf (このIDを非表示/違反報告)
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