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「わ、私も彼氏出来たらいいなー…。」
ポッと赤くなる春乃が可愛くて、つい虐めたくなる。
「沢村君と付き合えるといいね。」
コソッと耳元で囁けば、更に顔を赤くして慌てる姿が恋する女の子そのもので羨ましくなった。
付き合うなら、自分が好きになった人がいいな。
「もっと握って!」
「それ塩やり過ぎじゃない?」
合宿が始まり、マネのみんなで部員が食べるおにぎりを延々と作る作業をしている。
「こ、これ…本当にみんな食べれるんですか?」
「ちゃーんとあいつら食べるから大丈夫!」
今まで目にした事がない莫大な量のおにぎりを完成させて、休憩しようとしたのも束の間で。
バナナや納豆、色んな食べ物を今度はどんどこ外へと運ぶ作業へと移った。
「うわー!!!これ、食べていいっすか?!」
目を輝かせながら、おにぎりを手に取る沢村君。
「これ、お前が握ったの?」
すると、一也に声を掛けられて得意げに頷いてみせた。
「そうだよ!美味しいから食べてよ!」
「いや、いらね。」
………は?
「はあああ?!何でじゃあわざわざ訊くわけ?!」
「貴子先輩が握ったやつが食いたくてさ。」
そりゃあ、貴子先輩の握ったおにぎりが一番綺麗で美味しそうに見えるけどさ!
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作者名:おにぎり | 作成日時:2024年1月28日 22時