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「おい!A!!」
昼休み、春乃と教室でご飯を食べていると純さんに呼ばれ急いで紙袋を持って立ち上がる。
「……例のブツは持ってきたか?」
「勿論!ちゃーんと持ってきました!!」
「よし、でかした!」
怪しまれないようにヒソヒソと話す純さんだけど、これじゃ余計目立ってる気がするんだよね。
「よし、それじゃこれ借りるな。」
「どうぞ、どうぞ。」
嬉しそうな背中を見送り、教室へと戻る。
ふふ、可愛い人。
「渡せたの?」
「うん、バッチリ!あの見てくれで少女漫画が好きだなんて面白いよね。」
初めて見た時は、強面だし、後輩に怒鳴り散らしてるし、印象最悪だったんだけど。
「でもさ、初めて少女漫画好きだって知った時すごーい焦って否定してたのに、いきなり逆ギレするんだもん。」
「え、そうだったの?」
「うん、好きでわりーか?!コラァ!!って。」
亮さんが暴露した時のあの慌てようを思い出すと、今でも笑いそうになってしまう。
最初は部員のみんなと上手くやってけるか少し心配だったけど、今では充実した毎日を過ごせてる。
「もうじき合宿だね。」
「だね。あっという間に夏になっちゃうね。」
「…彼氏欲しい、青春したい。」
青道に来て早二ヶ月、未だに彼氏ナシ。
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作者名:おにぎり | 作成日時:2024年1月28日 22時