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御幸
「沢村君見なかった?!」
練習が終わって寮に戻ろうと汗を拭きながら歩いていると、息を切らしたAに肩を掴まれた。
「さあ?タイヤでも引いてんじゃねえの?」
「それがいなかったの!!もう!」
荒々しく怒っているとこに更に爆弾を投下してみる。
「鳴と付き合ってんだって?」
「…ねぇ、分かってるよね?嘘だって。」
「でもキスしたんだろ?」
「あれは挨拶みたいなものだから!」
キスが挨拶…?
否定しないってことは本当にしたのかよ。
昔からAは鳴には甘い。
それが俺はずっと気に食わなかった。
「じゃあ俺もしていいの?キス。」
「はあ?何言ってんの?」
「だってキスは挨拶なんだろ?」
鳴への嫉妬?Aの鳴と俺との態度の差の不満?
揶揄うつもりがいつの間にかヒートアップしていて、Aとの距離を縮めていく。
「ちょっと何!!なんなの?!こういうノリやめてよ!」
「ノリでこんな事しねえよ。」
強気な態度から一変、不安そうな表情で俺を見つめてくるAの目を見つめ返す。
「俺もお前が好きなんだけど。」
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作者名:おにぎり | 作成日時:2024年1月28日 22時