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御幸
少し目を離した隙に消えた沢村を探していた。
いい球投げられて随分とはしゃいでたもんなあいつ、今頃誰かに自慢して……あれは鳴とA?
「おい鳴、うちのマネ返して。」
何で間に入ったのかは自分でも分からない。
困り果てた様子のAを見て、つい体が動いてしまった。
驚いた拍子にAを解放し、今度は鳴が困惑した表情で俺達を交互に見比べている。
「……はは、そんな事ってある?…雅さん行くよ。」
相変わらず原田さんに生意気な口を聞いてて、どっちが年上か分かったもんじゃない。
「鳴ちゃ「ごめん、今話したくない。」
恐らく初めてであろう鳴からの拒絶に今度はAが困惑した様子で固まってしまっている。
不機嫌そうに原田さんとこの場から立ち去ってしまった。
相変わらずガキだなあ、アイツ。露骨過ぎんだろ。
「誰なんだよあのシロアタマ!!!」
こっちはこっちでバカが騒いでるし。
「沢村、同じサウスポーとしてあいつのピッチングよく見とけよ。」
「何で?!」
「あいつを打ち崩さねえ限り、甲子園の切符に届かねえからだよ。」
「な、なっ……そんなにすげえ奴だったのかよ!!!」
あーあ、沢村も鳴と同じ先輩への態度がなってねえよな…って問題はこいつよりもAの方か。
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作者名:おにぎり | 作成日時:2024年1月28日 22時