【◇】俺らのお姫様 (ページ35)

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成宮

あれから家までどうやって帰ったか記憶は曖昧で。

泣き腫らした目で帰宅すれば、怒り心頭だった両親も大目に見てくれて逆に心配している様子。

あんなに感じていた空腹も消えて、ただただ悲しみだけしか感じられなくなっていた。

「一也の馬鹿野郎…。」

ベットで枕を握りしめて泣きながら呟いた。

Aとも会えない、一也はあんな感じで話になんない。

何これ、難易度高いゲームかなんか？
俺らこの先どうなっちゃうんだよ。

流石に明日は一也だって来るよな？

だって明日でAに会えるのも最後なんだから、そう何度も自分に言い聞かせて不安を取り除こうとする。

でも結局、一睡もできずに朝を迎えてしまった。

いかにも体調不良な顔でパンパンになった目のまま支度してから家を出て、チャリでAの家へと向かった。

俺の心とは真逆で雲一つない快晴。

こんな日に三人で遊べたら楽しかっただろうな。

何考えてんだ俺…。

今日は笑顔で別れるって決めたのに、涙が出そうになって慌てて他の事を考える。

でも、そう簡単にはいかなくて、今までの楽しかった記憶がここになって蘇ってきてしまって涙が止まらなかった。

「鳴ちゃん！！！」

目的地が見えてきたと思ったら、家の前に既にAが立っていて大きく手を振っている。

バレないよう涙を拭いて、笑顔でAの元へ向かった。

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