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成宮
「明日の朝会いに行く。」
「でも早いし大変だか「いいの!だってさ…会えなくなっちゃうんだよ?見送りぐらいさせてよ。」
「鳴ちゃん…。ありがとう。」
本当は俺だって泣きたかったけど、Aを困らせたくなくて涙をグッと堪えていた。
「じゃあまた明日ね!」
「うん!」
大きく手を振って見送った後、苛立つ気持ちを押し込めながら一人で一也の家へと向かった。
アイツが帰ってくるまでずっとここで待ち伏せしてやる。
親には「すごい帰りが遅くなるけど、友達のとこだから心配しないで。」って一方的に電話を切った。
それから何度も着信があったけど迷わず電源を切った。
どうしてもAの為に何とかしてあげたいんだ。
だから今日だけはこんな我儘息子を許して。
日も落ちて辺りが真っ暗になっても一也は来なくて、まさかもう帰ってるのかと思っていたら──
「あれ?君はさっきの…。」
「あ、どうも。」
一也の父ちゃんにペコリと頭を下げた。
実はさっきもAと一也を探しにここに一度来たけど、居なかったのだ。
「こんな時間にどうしたの?」
「あの、一也いますか?」
「え、一也?ちょっと待っててね。」
待ってる間、色んな家から夕飯のいい匂いが漂ってきて、お腹が悲鳴を上げていた。
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作者名:おにぎり | 作成日時:2024年1月28日 22時