【◇】俺らのお姫様 (ページ32)

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成宮

「本当は二人と離れたくないよ…。」

目に溜まっていた大粒の涙が溢れるのを見て、本当の事なんだって、明日からもう会えないんだって事を悟った。

「一也は？知ってるの？」

「…うん、今日話したよ。」

じゃあ何でアイツはこの場にいないんだよ。

「一也はどこ？」

「分からない、話したら怒ってどこか行っちゃったから。」

あのバカ！！

辛いのはAだって同じなのに。

「一也のこと探す？」

「うん、ちゃんと話したい。」

「よし！二人で見つけよう。」

Aと一緒にいられるのも僅かだっていうのに、いつも冷静な一也なら分かりきってる事だろうに。

一也と行った場所、行きそうな場所、逆に行かなさそうな場所をしらみ潰しに探したが結局見つからなかった。

「そろそろ帰らないと…。」

日も沈まりかけてきた頃、悲しそうに呟くA。

「……ごめん、見つけられなくて。」

「ううん、一緒に探してくれてありがとう。見つけられなかったけど、鳴ちゃんと一緒だったから楽しかったよ。」

久しぶりに見た楽しそうなAの笑顔。

本来だったら嬉しい筈なのに、明日からは見られないと思うと複雑な気持ちだった。

「明日、何時に行くの？」

「お母さんの実家遠いから、朝早くに出る事になってるの。七時には出発すると思う。」

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