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成宮
そんな俺のことをバカにしないでくれるA。
一也はどう思ってんのか知らないけど…。
それからは、ダサいと思って隠していた悩み事とか全てAには自然と話す事ができたんだ。
「鳴ちゃんの自分の意見を全面に出せるとこ、すごいいい事だと思うけど、抑えた方がいい時もあるしさ。」
「うんうん。」
「周りに合わせるって事も大切だと思うんだよね。」
他の奴の意見なんて絶対に聞かないのに、Aがしてくれるアドバイスならすんなりと受け入れられる。
本当に自分よりも年下なのかなってたまに思うんだけど、でもどの意見も的確で。
「今日、友達できたっぽいんだよね。」
「ほんと?!よかったね!!」
成功して報告すれば自分の事のように喜んでくれる。
そんなAのことをどんどんと好きになっていくうちに、ある事に気づいちゃったんだ。
一也もAの意見だけはすんなり受け入れてるって事は、好きだからなんじゃないかと。
「あれ?Aは?」
「今日は用事があるって。」
「ふーん。」
二人に会いに来たのに、その日Aの姿はなくて。
「それ何食ってんの?」
「干し芋。」
「甘いの嫌いなんじゃないのかよ。一つちょーだい。」
「これは自然の甘さだから食えんの。ほらよ。」
相変わらずジジ臭い奴だなと思いながら、貰った干し芋を口に入れて二人座りながらボケーッとする。
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作者名:おにぎり | 作成日時:2024年1月28日 22時