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成宮
何か強さの秘訣があるのかもしれない。
他人の事を見下していた俺にとって、誰かに興味を持つなんて初めての事だった。
「お、いたいた。」
休みの日、自分の練習をサボってでも偵察したくて、一也の所属するチームの練習場へとやって来た。
「何でさっき俺が指示した球投げなかった?」
「それは…ストレートで打ち取れると思ったんだよ!」
「で結局、打たれちゃってるけど?」
体格的に見ても上級生相手に突っかかってるところに、たまたま出くわしたので様子を見ていた。
「お前さあ!!少し人より野球が上手いからって年上相手に生意気なんだよ!!!」
突き飛ばされて尻餅をつく一也。
「技術で俺に勝てないからって暴力なんて頭悪いよ?そんなんだから簡単に打たれんだよ。」
「テメェ!!!!」
「お前達いい加減にしろ!!!二人とも今日はもう帰れ!」
監督に怒られて、不貞腐れた態度で荷物を纏める一也と言い訳をしているもう一人の奴。
え?マジで帰っちゃうの?
これじゃ俺がわざわざ来た意味ないじゃん!!
「ちょっと一也!あの言い方はダメでしょ!!」
一也に気を取られ気づかなかったが、女の子がやって来て怒った様子で説教をしている。
後ろ姿で顔は見えないけど、身長は一也よりも高いからアイツの姉なのかと思っていた。
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作者名:おにぎり | 作成日時:2024年1月28日 22時