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ズカズカと前を歩く一也の背中を追いかける。
何でそんなに早歩きなの!っていつもは言えるけど、今は言えない状態なので黙って後をついていく。
さっきの一也の顔が本当に怖くて。
倉持先輩が送ってくれると提案してくれて、どうすべきか悩んで一也の顔を見ると心臓がヒュンッとした。
「…だってさ?どうすんの?」
物凄く冷たい目で見下ろされて言葉に詰まってしまう。
ここで倉持先輩にお願いしたら殺される、そう思って丁重にお断りして一也にお願いしたのだった。
部活が終わって春乃と少し寄り道して、その時に鞄の中に入れっぱなしのスコアブックを発見した。
帰るついでにと一也の部屋に向かったのが間違いだったのかもしれない。明日にすればよかった。
でも、今日までに返せよって言われてたんですもの。
ぬあーと一人、心の中で後悔していると曲がり角で一也の足がピタッと止まった。
「どっち?」
「あ…こっち。」
「ここから分かんねえからお前が前歩け。」
今度は後ろから一也の足音が聞こえてきて、変に緊張して生きてる心地がしない。
…話しかける?でもなんて?
あんな怖い顔の一也見た事……あ、ある。
引っ越すって話した時、今日と同じ顔で怒ってた。
そんな事を考えていると、自分の住んでるアパートへと着いてしまった。
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作者名:おにぎり | 作成日時:2024年1月28日 22時