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ずっとずっと謝りたくて苦しかった──。
小五の時に親の離婚で東京を離れる事になった。
当時の私は、嫌だと親に泣いて縋り付いたが所詮は無力。
結局、母の実家がある場所へと引っ越しが決まってしまった。
あの日、泣きながら見送りに来てくれた鳴ちゃん。
でも、一也は会いに来てくれなかった。
「何度も振り回しちゃってごめんね、今度ね…東京に転勤になったの。Aはどうする?」
「私も東京に行く…!行きたい高校があるの!」
中三の夏の出来事。
何も迷わなかった。
あの日の事がずっと心に残っていて苦しかったから。
一也はどんな顔をするだろう?驚く?…嫌がる?
色んな事を考えて不安になりながら迎えた当日。
あまりの人数の多さに緊張しながらも一也の姿を探すけど中々見つけられなくて。
自己紹介の後にようやく見つけた一也に近づき声を掛けた。
かなり身長が伸びている事と昔よりも顔つきが男らしくなっている事に一瞬驚くも平静を装う。
自分ではハキハキ喋れてるつもりだけど、脳内はかなり焦っていて実際どう見えてるか分からなくて不安になってしまう。
「…へー。よろしくな、A。」
どこか不機嫌そうだけど、昔と同じ名前で呼んでくれた事に感動して嬉しくなった。
「私ね、あの日の事ずっと謝り「お取り込み中のとこ悪いけど、もう練習始まるから邪魔だよ。」
一也への謝罪は、ピンク色の髪の笑顔が怖い人に妨害されてしまい、この日結局できずに終わってしまった。
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作者名:おにぎり | 作成日時:2024年1月28日 22時