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御幸
その日も、いつもと変わらない一日の筈だった──…。
眠い、眠いと言いながら起き上がり時計を見りゃ、部活の集合時間を過ぎていて。
急いで起き上がり支度を済ませ、同じく寝坊したであろう新入生を騙し部員の列へと素知らぬ顔で並んだ。
へー今年も結構人数いるな。
なんて思ってると、今度はマネージャーの紹介へと移り、どこか見覚えのある顔を見て固まってしまった。
「AAです。精一杯みなさんのサポートが出来るように頑張ります!よろしくお願いします。」
確かに聞き覚えのある声、そしてあの頃よりも少し大人っぽくなった姿に目が離せなくなってしまう。
「あの子可愛くね?」
「だよな、俺も思ってたとこ。」
ヒソヒソと聞こえてくる声にハッとなり、ようやく体が動くようになった時には自己紹介も終わり、人が散って行く。
なんでAが青道に…?
訊きたい事は山程あるが、昔の自分の態度を思い出し、声を掛けるのを躊躇ってしまう。
そんな俺をよそにAはズンズンと近づいてきて、ぎこちない様子ながらも真っ直ぐな瞳で見つめてきた。
「…春からまたこっちに戻って来たの、これからよろしくね?えっと……御幸先輩。」
……御幸先輩?昔は名前で呼んでたくせに?
言いたい事も山程あるが、そんな些細な事が引っかかってしまい思わず顔を顰める。
「…へー。よろしくな、A。」
まるで当てつけるかのように、わざと昔のままの呼び方で返してしまう自分がいた。
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作者名:おにぎり | 作成日時:2024年1月28日 22時