10話 ページ10
「あー！！Aちゃん！！わんだほい！！」
「！」
そう言って、どん、と私に勢いよく誰かが抱き着いてきた。
それは桜のような髪色をした女の子だった。
抱き着いてきたし、名前を知っていたから知り合いだと思ったが、見覚えが無い。
「..え、えっと」
「こら、えむ！急に抱き着いたらAが驚いてしまうだろう！」
「はっ！いつもの癖で！」
私に抱き着いたまま、『えむ』と呼ばれた女の子は、バタバタと足を揺らす。
「とりあえず離れろ！」
ぐいっと天馬さんが、その女の子を引っ張り上げ、地面に立たせる。
「よいしょ...っと！あたし鳳えむ！よろしくね！」
私の手を握り、ぶんぶんと上下に振る。
「私も自己紹介した方がいいかな...。草薙寧々...といっても、同学年だから知ってるかも」
「え、えっと稲荷Aです....。よろしくお願いします」
次々と自己紹介をされ、私もつられてそう言った。
「君をここに呼んだ理由は、昨日と同じさ」
「Aちゃん！この前はありがとう！」
鳳さんが神代さんの言葉を補足を入れるように、『笑顔』でそう言った。
その光景に、私は思わず顔を逸らしてしまう。
＿＿砂嵐のようにあの時の光景が浮かぶ。
「....稲荷さん？」
草薙さんの呼びかけに、思わずハッとする。
「体調悪いの...？」
「い、いえ！大丈夫です..」
「そう...？」
草薙さんの心配に胸が痛む。
話の続きを促すように、私は彼女らの方を向いた。
「Aの技術力と演技力のおかげで、俺達ワンダーランズショータイムの団員は救われたのだ！」
「そんな大それた事はしていないですよ、...ただ従って演技をしただけです」
「...あの時稲荷さんは、台詞をどうやって知ったの？」
「あれは、舞台裏にあった原稿を読んだんです。...勝手にすみません」
緊急事態だったとはいえ、勝手に入って読んだことについて、頭を下げて謝った。
「謝ることじゃないよ！とっても上手だった！」
「あんな短時間で覚えられるのは、憧れるものがあるね」
「そんなことは...」
彼らは、私の事を買い被り過ぎていると思う。
私がそう思っていた時、天馬さんは私に手を差し出して、こう言った。
「Aの力があれば、俺達のショーを見に来てくれた皆をもっと『笑顔』にできるはずだ！どうだ！俺達と一緒にショーをやってくれないか！」
ちくり、と胸が痛んだ気がした。
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こーらふろーと(プロフ) - 麗紅花さん» コメントありがとうございます！亀投稿ですが、じっくりと待って頂けると嬉しいです！ (2022年5月30日 2時) (
レス) @page19 id: d3b8f2bb05 (このIDを非表示/違反報告)
麗紅花(プロフ) - 良いですね！ワンダショー（特に類君）は夢主を助けるみたいな展開でありつつ、夢主も自分の本当の思いを蘇らせる……面白い話ですね。話の展開も良いし、何より好みの話ですので続きが気になります。ですので、更新は何時までも待っています！ (2022年5月25日 21時) (レス) @page19 id: ba1809d3dd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こーらふろーと | 作成日時：2022年4月16日 13時
