5話 ページ5
はぁ、と一つため息を吐く。
今日は日直で、帰るのが遅くなってしまった。
帰りの道を歩いていると、あの遊園地が目に入る。
『フェニックスワンダーランドへようこそ』という看板の前で立ち止まる。
「......」
再び歩き出そうとした時、誰かに制服の裾を引っ張られた。
「＿＿！！」
反射的に後ろに飛び退こうとしたが、寸での所で止まる。
私の制服の裾を掴んでいた正体は、小さい男の子だった。
その男の子は私を掴んだまま、すすり泣いていた。
「ど、どうしたの？」
「....ぉ...かあさんいなくなっちゃった....」
ぽつりぽつり、とその男の子は言葉を溢す。
「迷子なの...？」
私がそう返すと、その男の子はこくりと頷く。
...困った。
私は小さい子のお世話なんてしたことが無いし、ましてや泣き止ませる方法なんて知らない。
迷子センターに連れていこうとも思ったけど、近くでこの子のお母さんが探しているかもしれないし...。
私が悩んでいる間にも、涙をぽろぽろと流す男の子に動揺する。
「どうしよう...」
焦って鞄の中を漁ると、とある物を掴めた。
＿＿＿これなら。
「....ねぇ、見てて」
出来るだけ男の子の目線に合うように屈み、私の手に集中するよう誘導する。
男の子は泣きながらも、私の手に視線を送る。
.......よし。
ぽんっ、っという効果音と共に、手の中から花を咲かせる。
「....お姉ちゃん凄い！！どうやったの..？」
「うーん...魔法かな...？」
流石に手品の種は教えられないため、そう男の子に答える。
「お姉ちゃんは魔法使いなんだね....！凄い凄い！」
「ふふ、ありがとう。じゃあお姉ちゃんの魔法を見てくれたお礼に、これあげる」
先程出した花を、男の子の方に差し出す。
「わぁ....！！ありがとう！！」
男の子は花を受け取り、嬉しそうな『笑顔』を浮かべた。
「....っ」
その光景から少し顔を逸らす。
「お姉ちゃん...？」
「...だ、大丈夫」
不安そうな顔をしている男の子に、まるで自分に言い聞かせるようにそう答える。
しばらくすると、その男の子の母親が迎えに来た。
何度も感謝と謝罪をされて驚いたが、見つかってよかったなと心から思い、二人を見送る。
...そろそろ私も帰ろう。
そう思い、フェニックスワンダーランドを後にしようとした時＿＿＿＿
「少し話いいかな？稲荷さん＿＿＿＿いや
『面隠しの手品師』さん」
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こーらふろーと(プロフ) - 麗紅花さん» コメントありがとうございます！亀投稿ですが、じっくりと待って頂けると嬉しいです！ (2022年5月30日 2時) (
レス) @page19 id: d3b8f2bb05 (このIDを非表示/違反報告)
麗紅花(プロフ) - 良いですね！ワンダショー（特に類君）は夢主を助けるみたいな展開でありつつ、夢主も自分の本当の思いを蘇らせる……面白い話ですね。話の展開も良いし、何より好みの話ですので続きが気になります。ですので、更新は何時までも待っています！ (2022年5月25日 21時) (レス) @page19 id: ba1809d3dd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こーらふろーと | 作成日時：2022年4月16日 13時
