14話 ページ14
「＿＿カイトさん」
「ん？どうかしたかい？」
私の事、どこまで知っているんですか＿＿と言おうとした、その時＿＿
私がこのセカイに来た時と同じように目の前が光った。
「＿＿カイトさん達に聞いてほしいことがあ.....って....」
猫のような彼の目が開かれる。
＿＿綺麗な目。
今、考えることはそれじゃないとわかっているのに。
何故かそう思ってしまった。
逃げようと思ったが、正面から歩いてくる彼から目が離せない。
神代さんは私の方に歩いてくると、私と視線を合わせるようにしゃがみこんだ。
「...どうしてここに？」
「よくわからないんですけど、この音楽ファイルを再生したら....」
そう言って、私は自分のスマホの画面を見せる。
「Aくん....君も.....___」
と神代さんは、何かを言いよどんだように口を噤む。
「...？」
「.....いや、なんでもないよ。でもこれでわかった。＿＿＿僕達の『夢』には、やはり君が必要だってこと」
『夢』という言葉に、私は神代さんの方を向く。
神代さんの言葉から、あの人に言われたことを思い出した。
『＿＿きっとAならできる。僕はそう信じてるもん』
＿＿＿私を救ってくれた、あの言葉を。
「君に何か事情があるのは薄々わかっているよ。でもそれは、君がショーを嫌いになったということではないのだろう？」
彼は私に返すように、琥珀のようなその瞳で私を見た。
「....！」
その言葉に、私は目を見開く。
この人はなぜ、こんなにも心を見透かせるのだろう。
「その顔をするってことは、違うってことだね。もし君の不安材料があるなら、演出家である僕が責任を持って取り除く。だから＿＿＿＿」
そう言って彼は、私の手のひらを両手で握り、こう言った。
「僕達と一緒に＿＿＿ショーをやらないかい？」
彼の真っすぐな言葉が、じわりと心を暖かくする。
彼は、今私が欲しいと思った言葉をくれた。
.....それが、少し嬉しかった。
何度も断っておいて、こんなの烏滸がましいとはわかっている。
でも、この人達とならもう一度『手品師』として、諦めていた『夢』を目指すことができるかもしれない。
＿＿＿一歩ずつだけど、着実に。
彼の両手に、開いている片手で包むように握る。
「＿＿＿はい、よろしくお願いします」
彼の言葉にそう答えた私に返すように、彼は目を細める。
＿＿＿彼の瞳はやはり綺麗だった。
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こーらふろーと(プロフ) - 麗紅花さん» コメントありがとうございます！亀投稿ですが、じっくりと待って頂けると嬉しいです！ (2022年5月30日 2時) (
レス) @page19 id: d3b8f2bb05 (このIDを非表示/違反報告)
麗紅花(プロフ) - 良いですね！ワンダショー（特に類君）は夢主を助けるみたいな展開でありつつ、夢主も自分の本当の思いを蘇らせる……面白い話ですね。話の展開も良いし、何より好みの話ですので続きが気になります。ですので、更新は何時までも待っています！ (2022年5月25日 21時) (レス) @page19 id: ba1809d3dd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こーらふろーと | 作成日時：2022年4月16日 13時
