1話 ページ1
「姫、私と踊っていただけませんか？」
「俺と踊ってください！」
舞踏会で柳茶色の髪をした少女に、そう言いよる他国の王子達。
ここまでの演技は、完璧だ。
この後は、王子に扮した怪盗役としてネネロボが来るはず。
「わ、私は....」
たじろぐ演技をした寧々を見ながら、横目で舞台裏を見つめる。
しかし、肝心のネネロボが出て来ない。
何事かと思っていた時、えむくんが困った様子でネネロボを舞台裏で抱えているのを目にする。
＿＿＿＿＿故障だ。
演技中のため表情は崩さなかったが、僕の雰囲気で悟った皆にも動揺が走る。
このままでは、不味い。
何とか演技をして、舞台裏に戻る？でもどうやって？
グルグルと頭を回しているその間にも、舞台は進む。
......アドリブで何とか繋ぎ、その場を凌ごう。
そう考え、言葉を発そうとしたその瞬間。
＿＿＿＿＿＿上空から花びらが舞い始めた。
「え....」
こんな仕掛けをした覚えはない。
なら、誰が...＿＿＿。
「おやおや、はしたないな」
軽々とステージ上に降り立った人物は、寧々の前に跪く。
「こんなに可憐な姫の前で言い合いとは＿＿＿＿」
その人物は寧々の手をとり、先ほどは持っていなかったはずの花束をどこからか取り出し、目の前に差し出す。
....台詞も動きも完璧だ。
もしかしたら、機転を効かせて誰かが呼んだのかもしれない。
そう思っていたが、他3人も混乱している様子を見て、その可能性は無いのだと悟る。
「あ、貴方は....？」
演技の台詞だか、ほぼ自身の脳内と同義だ。
「私？私は....＿＿＿」
そう言って目の前の人物は、スーツを引っ張り、黒いマントが特徴的な怪盗服姿になる。
観客からは黄色い悲鳴が飛ぶ。
＿＿＿凄い。
僕たちが誰も持っていない技術を持っている。その人の演技の魅せ方に夢中になり、僕も観客になった気分だ。
演技を終えたその人は、舞台裏がある僕の方を見る。
そして僕はあることに気付く。
＿＿＿その人物は本性を隠すような仮面を着けていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 181人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
こーらふろーと(プロフ) - 麗紅花さん» コメントありがとうございます！亀投稿ですが、じっくりと待って頂けると嬉しいです！ (2022年5月30日 2時) (
レス) @page19 id: d3b8f2bb05 (このIDを非表示/違反報告)
麗紅花(プロフ) - 良いですね！ワンダショー（特に類君）は夢主を助けるみたいな展開でありつつ、夢主も自分の本当の思いを蘇らせる……面白い話ですね。話の展開も良いし、何より好みの話ですので続きが気になります。ですので、更新は何時までも待っています！ (2022年5月25日 21時) (レス) @page19 id: ba1809d3dd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：こーらふろーと | 作成日時：2022年4月16日 13時
