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うらたside

久しぶりにAの部屋に入った俺は、落ち着かぬまま卓袱台の前に正座をして待っていた。

女子の部屋ってなんだかそわそわする。

ぷらすで好きな女子の部屋なら尚更だ。

落ち着こうと大きく深呼吸をすると、肺の中がAの匂いでいっぱいになる。

…ふふ、いい匂い。

『…って、俺キモ』

しばらくしていると、Aがジュースが注がれたコップ二つと、クッキーを持ってやってきた。

「こんなんしかなくてごめんね、たいていの昨日のパーティで食べちゃったから」

『いや、別にいい』

…それにしてもどうしようか。

ひまりを家に連れてく坂田がうらやましくて、なんも考えずにAの家にお邪魔してしまった。

これからどうしようか。

うーん、とうなっていると、Aが昔の卒アルを引っ張り出していた。

『何してんだ?』

「久しぶりに二人きりだし、昔話に花でも咲かそうかと」

二人きり、という言葉にどきりと胸が鳴る。

…嫌、だめだ。向こうは俺にまだ好意を抱いていないんだ。

「…た?…うらた???」

『え、あ、わりい。なに?』

「大丈夫?」

『気にすんな、で、どうかしたのか?』

「ねえ見てよこの時のうらた!めっちゃ小さくてかわいいの」

『うわ、なつ…』

「このころのうらためっちゃ泣き虫でさあ?いつも私が慰めてたよね」

『そんな恥ずい事覚えんな忘れろ』

霧のように薄い記憶だが、確かにあの頃はAに助けてもらってばっかだったかもしれない。

「嫌ですぅ。可愛いからいいの!今じゃ絶対私の前では泣いてくれなさそうだし」

『当たり前だろ!?だせぇもん』

「うーん、そうかなあ?」

『ってか、こんときのAショートカットだったし、俺のこと守ってくれたりで半分男だったよな』

「んな、失礼な!」

『くっくっく、今はずいぶんかわいらしくなったよな』

思わずぽろっと本音をこぼすと、Aは頬を少し赤らめながら固まっていた。

…照れてくれるってことは、少しは俺のこと、男としてみてくれてるのか?

………少しくらい、俺にもチャンスがあるかもって期待していいのか?

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設定タグ:うらたぬき , 浦島坂田船 , 歌い手   
作品ジャンル:ラブコメ
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名無し - 京さん» コメントありがとうございます。喜んでいただけてこちらも嬉しいです。これからも作品共々よろしくお願い致します。 (2021年10月26日 21時) (レス) id: c4eef0954c (このIDを非表示/違反報告)
- いや、あの、尊いです。更新頑張ってください(尊すぎて語彙力消失しましたアアアアアアアア) (2021年10月23日 6時) (レス) @page18 id: eaceb83c51 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - ココさん» コメントありがとうございます。名前変換の方を可能にさせて頂きました。変更の忘れがございましたら、お手数ですが再度ご連絡お願い致します。作品を読んでくださりありがとうございました。 (2021年10月9日 22時) (レス) id: c4eef0954c (このIDを非表示/違反報告)
ココ - 名前変換できるようしてくれると嬉しいです (2021年10月6日 22時) (レス) @page1 id: 4066b758b9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:名無し | 作成日時:2021年9月25日 14時

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