◎:絶対零度 ページ22
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『おい』
「勝手に入ってこないで」
『電話でろよ』
「気づかなかった」
『とぼけんな』
勢いよく開けられたドアが跳ね返った。
ソファに寝そべる私の足を跨いで、携帯を奪い取った。
期待通りの行動に胸が熱くなる。
『なんで俺に言わねえんだよ』
「……なんのこと」
『とぼけんなっつってんだろ』
「……痛いってば」
『……ごめん、』
私を掴む紫耀の腕が震えてた。
だって、紫耀と仲良い子なんだもん。
言えるわけないじゃん、意地悪されてるなんて。
初めは " 紫耀に近づくな " と、ふざけた紙切れが下駄箱に入っていて
そのまま気にも留めずにゴミ箱に投げ捨てた。
当たり前に紫耀とは顔を合わす機会が多いわけで。
そしてそれがヒートアップして、ついに呼び出された。
__「ただの幼馴染が彼女気取り?」
__「は?」
__「何なのその目。ちょーウザいんだけど」
__「こんなことしたって紫耀は…「うるさい!」……」
右肩を強い力で押し倒されて誰もいない廊下に手をついた。
睨みつけるように「あんたに何が分かんの」と吐き捨てて、
女は廊下の向こうをスタスタと歩いて行ってしまった。
分かるよ、痛いくらいに。だって幼馴染だもん。
何を言っても何をしても紫耀の心には追いつかないし入れない。
ひとり取り残されて、静まり返る廊下に立ち寄ったのは
同じクラスの神宮寺だった。厄介な人に見つかってしまった。
__ 神「え、何してんの、大丈夫?」
__ 「……なんでもない」
__ 神「いやいや、え、……あいつって、」
__ 「なんでもないから、ほんとに」
__ 神「……紫耀は知ってんの?」
__ 「言わないで!……絶対に」
__ 神「……うん、」
紫耀にだけは絶対に知られたくなかった。
口止めしたって、紫耀と仲が良い神宮寺に知られてしまった以上は
紫耀の耳にも入るはずだ。紫耀は隣のクラスで、あの女も同じ。
紫耀が私のクラスに来る理由はただ単に神宮寺と話す為だ。
決して私の為ではない。勘違いされてもおかしくないけど、
あの女が言う通りなのか。ただの幼馴染の延長線。
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まきこ(プロフ) - 全部のお話すごく好きです!!甘えてくれる紫耀くん可愛すぎますね!またいろんなお話読めるの楽しみにしてます^ ^ (2021年2月14日 8時) (レス) id: cfbbd37a93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:詠夢 | 作成日時:2021年2月7日 1時