愛とか恋とか《短編集》【 sh 】 (ページ18)

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『愛ってどうやったら測れんのかな』
「え？」

ビックリした。背筋が凍りそうだった。だって、紫耀の口からそんなこと……想像もしてなかった。私だけだと思ってた。無言を貫いていた紫耀が小さく呟いた。

『俺の愛って、ちゃんとAに伝わってんのかな』
「紫耀、」

不意に弱々しく俯いた紫耀の唇からピンクが薄まっていった。遠慮がちに唇が離れた瞬間、無性に愛が強まった気がした。あぁ、これが愛なんだ。好きの重さや想いの大きさなんて人それぞれで、２人にしか分かり得ない愛のカタチがあって、伝えなきゃいけないのはいつも時が過ぎてから。

「伝わってる」
『…………』
「愛なんて測れない、私にも紫耀にも」
『……ん、』

当たり前のことが、こんなにも明確に一番大切な人と実感できてることが何よりの幸せであり、他の何ものにも代え難い愛なんだと思う。分厚い胸板に包まれながら、逞しい二の腕に縋ってはこの人じゃなきゃダメなんだと思う。

「だから、」
『ありがとな』

" 俺を愛してくれて "

遮るように再び塞がる唇にまた熱が戻った。
不器用だけど、いつまでも真っ直ぐで、言葉なんていらないくらい２人で笑い合えたらそれでいい。そばにいてくれたらそれだけでいいから。

「やっぱり熱いよ」
『誰のせいだよ』
「わたし？」
『お前の愛がないとカッサカサになんの、俺のここ』

私の手を取って人差し指で紫耀は自分の唇に押し当てた。じわじわと伝わる微熱と、ぷるぷるに艶めく瑞々しい果実のような感触に、私はただ一点を見つめることしかできなかった。

『だから俺、今めっちゃ愛感じてるよ』

身体中に衝撃が走って、胸を焦がすような甘い台詞にいつだってドキドキする。
何度も重なったキスの温度はやっぱり３７℃が丁度いい。

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